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塩化水素HClの水溶液のことで、強い酸性をしめす。ちなみに、脊椎動物の胃から分泌される胃液中の酸は濃度が0.2~0.4%の塩酸である。 塩酸が発見されたのは13世紀である。これは天然に存在する塩化物を硫酸鉄と混合し、燃焼してつくられた。17世紀になってドイツのグラウバーが食塩(塩化ナトリウム)と硫酸を反応させて塩酸と硫酸ナトリウムを製造した。しかし、その当時、無機酸として工業化されたのは硫酸だけであった。塩酸は、ソーダ製造法として全盛をほこったルブラン法(18世紀末、フランス人のルブランが発明)による副産物として大量に生産され、酸性雨の原因となっていた。しかし、19世紀中ごろから塩酸は工業用の材料としてもちいられはじめ、19世紀後半には本格的に用途が広がった。日本で塩酸がはじめて製造されたのは1880年(明治13年)だった。 現在では、食塩水の電気分解で発生した水素と塩素を直接反応させて塩化水素をつくる(合成法)か、エチレンやベンゼンなどの炭化水素を塩素と反応させる際に、副生物としてとりだされている(副生法)。
塩酸は硝酸や硫酸と同じく強酸のひとつである。水素よりもイオン化傾向の強い金属、つまり酸化されやすい金属とよく反応し、水素を発生する。たとえばアルミニウムAlや亜鉛Znと反応し、塩化アルミニウムAlCl3や塩化亜鉛ZnCl2と水素を生じる。
ふつう市販されているものは塩化水素の濃度が36%程度あり、濃塩酸とよばれている。実験などに試薬として利用される希塩酸をつくる場合は、濃塩酸1体積に水3体積をくわえることで、濃度10%(モル濃度3mol/リットル)、濃塩酸と同体積の水をくわえることで濃度20%のものをえることができる。 塩酸の用途は試薬としての利用のほかグルタミン酸ナトリウムなどの化学調味料の製造や、各種無機塩化物の製造、医薬や農薬の製造、金属のさび落としなど多方面にわたっている。
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