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密閉したガラス管の空気をぬいて、圧力が低い状態で、少量のアルゴンと水銀を封入して放電させると、水銀の分子が波長253.7nm(ナノメートル:10億分の1m)の紫外線を発生する。この紫外線をガラス管の内側に塗布してある蛍光体に照射すると可視光線にかわる。このようにして照明をおこなう器具が蛍光灯である。 放電させるために必要な電気回路や光をあつめる反射板などのすべてをふくめて、器具の全体をいう場合は、蛍光灯といい、放電管だけをいう場合は、蛍光ランプ、蛍光管などといって区別する。抵抗線を加熱して照明する白熱電球と比較して、電力が光のエネルギーに変換される効率が高いので、同じ電力なら、蛍光灯のほうが2~3倍程度明るく、熱にともなうフィラメントの劣化が少ないので、寿命も5~10倍長い。→ 電気照明
蛍光灯の原形は、1859年にフランスの科学者E.ベクレルが試作しているが、工業的に製造されるようになったのは、1938年にアメリカのG.インマンが熱陰極蛍光管を開発してからである。39年から40年に「明日の世界」というテーマで開催されたニューヨーク万国博覧会(→ 博覧会と展示会)では、多数の蛍光灯がつかわれて、話題になった。 日本で最初に蛍光灯が使用されたのは、1940年(昭和15)で、奈良の法隆寺壁画を模写する際の照明であった。51年には、A.マッキーグらが効率の高い蛍光物質を開発して、一般の家庭でも広く利用されるようになった。まもなく日本でも、商業用につかわれ、家庭にも普及していった。
蛍光管の形には、棒状の直管のほか、ドーナツのような形をしたもの、電気回路をそなえた専用の器具に接続しなくても、ふつうの電球のねじ口にさしこめば点灯するものなどがある。ドーナツ型のものは、和風の建築様式にふさわしい照明器具として蛍光灯をつかうために1953年に日本で開発され、電球型のものは、80年ごろ同じく日本で開発された。
家庭で広くつかわれる直管は、点灯にグロースターターとよばれる放電管がつかわれることが多いが、これは、固定された電極とバイメタルでできていて、加熱されると変形するようになっている電極が封入されている。 低温状態では、高電圧をかけないと、両端の電極間で放電しないので、電極に電流をながして発熱させる。電極は、ふつうの白熱電球と同じタングステンの2重あるいは3重のフィラメントに、熱電子を放出しやすくするために、バリウム、ストロンチウム、カルシウムなどの酸化物を塗布したものがつかわれる。放電現象がはじまると、放電管の中にながれる電流が増加していって電極を破壊してしまうので、両端の電極の中間に交流に対して電気抵抗としてはたらくチョークコイルなどで構成されている安定器とよばれる電気回路をはさんで、一定以上の電流がながれないように制御している。 スイッチをいれると、同時にグロースターターの固定電極とバイメタルの電極の間で放電がはじまり、温度が上昇するので、グロースターターのバイメタルが固定電極に接触して、電源~安定器~片側の電極~グロースターター~反対の電極という回路が形成される。こうして両端の電極に電流がながれて温度が上昇すると、電極のフィラメントには電熱線のように電気抵抗があるので、グロースターターにながれる電流が減少して温度がさがり、グロースターターの2つの電極がふたたびはなれる。グロースターターの電極がはなれる瞬間に高い電圧が発生し、安定器のコイルでさらに高い誘導電圧を発生させて、蛍光管の電極間で放電を開始する。 蛍光管が放電を開始すると、安定器が両電極間の電圧を一定にたもつようにはたらく。水銀とアルゴンを封入した蛍光灯では、点灯中は管内の温度が約40°Cになるように設計してある。これは効率よく紫外線を発生する温度が、約5~40°Cのためである。発光する色によって白色、昼白色、昼光色、温白色などの種別がある。
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