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和歌山県伊都郡高野町にある高野山真言宗の総本山。空海が真言密教の根本道場として高野山に開いた寺院。寺名は「金剛峰楼閣一切瑜伽瑜祗経(こんごうぶろうかくいっさいゆがゆぎきょう)」にもとづき、空海が命名したもので、高野山の一山の総称でもある。高野山真言宗の総本山になったのは1946年(昭和21)。2004年(平成16)7月、高野山、吉野・大峰、熊野三山(熊野詣)が、それらをむすぶ参詣道(さんけいみち)とともに「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録された。 中国・唐から帰朝した空海は816年(弘仁7)、嵯峨天皇の許しをえて開山、9世紀末には伽藍も完成し、初代座主(ざす)寿長のころには独自の宗教権門へと成長していった。 1023年(治安3)の藤原道長の参詣をきっかけに、院政期になると白河、鳥羽両上皇のあつい信仰をうけ、多くの荘園が寺領として寄進されて、最盛期をむかえた。平安末期には信仰と教学においても金剛峰寺はその中心に位置するまでになった。10世紀からは東寺(教王護国寺)の長者が金剛峰寺を支配していたが、1134年(長承3)覚鑁はこの体制を排し、金剛峰寺と大伝法院の座主に就任する。しかし、東寺勢力や衆徒との反目をきたし、数年後には根来寺(ねごろじ)に拠点をうつして宗勢の拡大につとめた。教団は学侶(がくりょ)とよばれる学僧、行人(ぎょうにん)とよばれる僧兵、さらに遁世(とんせい)の念仏者である聖によって構成されていた。とくに聖は高野聖とよばれ、全国をまわって高野納骨と弘法大師信仰の普及に寄与した。 鎌倉時代には幕府や武士による信仰が盛んとなり、紀伊国の中心にある高野山領を支配して巨大な荘園領主となった。南北朝期を境に守護や地頭の侵略をうけ、ほかの宗教権門と同様に荘園支配はしだいにおとろえ、学侶、行人、聖の紛争がくりかえされた。安土桃山時代には1581年(天正9)に織田信長に反抗して迫害をうけ、85年には豊臣秀吉の高野攻めの前に降伏して戦禍をまぬがれる。江戸時代を通じて徳川幕府の帰依(きえ)をうけ、寺院法度で統制されながらも寺勢は安定していたが、1691年(元禄4)には学侶と行人の争いにより行人600人以上が流刑にされている。学侶、行人、聖の紛争はつづき、明治維新で3派は解体、統合されて金剛峰寺は一山の総称から中心となる寺務所の名称となった。
高野山はいくたびか火災にあっているが、金剛峰寺とその子院には、国宝、重要文化財をふくむ貴重な文化財が数多くつたわっている。建造物では創建当初にさかのぼる遺構はないが、1197年(建久8)鳥羽院の皇女八条院の御願(ごがん)により創建された住宅風仏堂の不動堂は、山内最古の建築で、平安期の住宅風仏堂の様式をつたえる。金剛三昧院(さんまいいん)の多宝塔は、1223年(貞応2)に建立されたもので、石山寺につぐ古い多宝塔である。
遺品は豊富で、日本の仏画を代表する優品が数多い。1086年(応徳3)の銘がある仏涅槃図が、現存する涅槃図の中では日本最古の作として知られる。そのほか、1145年(久安元)絵仏師の定智が描いた善女竜王図、平清盛が奉納したとつたえる両界曼荼羅図(血曼荼羅)、旧訳仁王経にもとづく五大力菩薩像(ごだいりきぼさつぞう。有志八幡講十八箇院)、赤不動の名で知られる不動明王二童子像(明王院)、空海感得の言い伝えのある伝船中湧現観音像(でんせんちゅうゆうげんかんのんぞう。竜光院)がある。また、もと比叡山安楽谷にあった阿弥陀聖衆来迎図(あみだしょうじゅらいごうず。有志八幡講十八箇院)や、阿弥陀三尊像(蓮華三昧院:れんげさんまいいん)、薬師十二神将像(桜池院)、勤操僧正像(普門院)など、顕教、密教をとわず仏画の名作がつたわる。地主神である丹生(にう)・狩場明神像(かりばみょうじんぞう)などを描いた垂迹画や、池大雅筆の山水人物図(遍照光院)、曽我直庵筆の商山四皓・虎渓三笑図屏風(こけいさんしょうずびょうぶ。同)などもある。
空海が唐からもちかえった白檀造の諸尊仏龕(ぶつがん)や、釈迦如来(しゃかにょらい)と諸尊像、板彫両界曼荼羅など創建期の遺品がつたわる。さらに、9世紀にさかのぼる元西塔に安置されていた大日如来座像や不動明王座像(正智院)、元不動堂にあった不動明王座像など平安期の作品のほか、運慶作とつたえられる八大童子像六躯(はちだいどうじぞうろっく)は鎌倉彫刻の代表として名高い。また同じ慶派に属する快慶の作品も多く、孔雀明王像(くじゃくみょうおうぞう)や阿弥陀如来立像(遍照光院)、阿弥陀三尊像(光台院)などがつたえられる。なお、金堂には本尊の阿閦如来(あしゅくにょらい)をはじめとする7体の平安期の密教尊が安置されていたが、1926年(大正15)に建物とともに焼失した。
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