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プロローグ; 磁石の歴史; 磁石の原理; 磁石の種類と特性; アルニコ磁石; バイカロイ、クニフエ、クニコ磁石; 鉄-クロム-コバルト磁石; 白金コバルト磁石; フェライト磁石; マンガン・アルミニウム・炭素磁石; 希土類磁石; フェライト系ボンド磁石; サマリウム系ボンド磁石; MQ型ネオジム系ボンド磁石; 超伝導永久磁石; 超伝導永久磁石の着磁; 永久磁石の用途; スピントランジスター; 磁性体中のキャリア
強磁性体に外部から磁場をかけて磁化する場合、磁化の状態より材料を分類すると、2つの種類がある。 一方は外部磁場をとりのぞくと材料に磁気がのこらない場合である。このような磁性体を軟磁性材料、磁心材料といい、これを利用して電磁石がつくられる。 もう一方は外部磁場をとりのぞいても、材料に磁気がのこる場合で、これを硬質磁性材料、永久磁石材料、または単に磁石材料というが、いずれも同じものである。 この材料をもちいてつくった一定の形状の物体を磁石または永久磁石という。本項は後者の永久磁石についてのべ、電磁石については別項で解説する。
前1000年にはすでに、中国で南北をさす磁石利用の指南車がもちいられていた。前600年ごろ、ギリシャのマグネシア地方で天然の磁鉄鉱が羊飼いによって発見されたのが、マグネットの語源である。 磁石の研究が本格化したのは19世紀であったが、この時代には磁石材料の特別な発展はなかった。磁石材料の技術と工業が本格化したのは20世紀になってからである。 20世紀の初期に、本多光太郎博士、三島徳七博士らによって、鉄、コバルト、ニッケルなどを主体とした磁石合金が発明され、これがアルニコとよばれる工業材料に発展、今日にいたっている。20世紀の中期には加藤与五郎博士らによって、新しい酸化物系の磁石が発明され、これも今日にいたるまで工業生産がつづいている。 20世紀後半になると、希土類金属を利用したいわゆる4f系強力磁石が開発され、これらが今日の磁石工業の主流となり、その最盛期をむかえている。
磁石はN極とS極をもっており、異極は吸引し同極は反発する。また磁石は鉄、ニッケル、コバルトなどほかの磁性体を吸引する。このような性質はどこから発生するのか。また強い磁石をつくるのには、どうすればよいか。これらの機構について説明しよう。
電気と磁気は比較対照される。電気ではその基本に自由電子なるものを考え、その動きによって電気現象が説明される。しかし、磁気では、自由電子に相当する磁子のようなものは考えられない。そこで物質の磁気を発生する根源として、原子に所属する核外電子の自転運動スピンに着目する。 このスピンは通常、プラス、マイナス1/2の量子数をもつ。電子がこのプラスマイナスで対をなしているときは、磁気が発生しない。不対のスピンがあるときに磁気が発生する。 そこで周期表から不対のスピンをもつ原子をさがすと、まず目につくものは鉄、コバルト、ニッケルである。これらの原子は電子の3d軌道に不対電子があり、そのため磁性をもつ。 さらに実用面からみれば、鉄、コバルト、ニッケルは安価で豊富な材料であるので、これら3d金属およびその合金が、まず20世紀の初頭に工業材料として磁石の主流となったのである。
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