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手形

手形 てがた
百科事典項目

一定の金額をしはらうべき旨の単純な委託または約束を記載し、一定の形式をもって発行される有価証券のことをいう。経済的にはその機能に応じて商業手形、融通手形、担保手形などさまざまな手形に分類されるが、法律上は約束手形為替手形のいずれかに分類される。旧商法(商法手形編。1890年公布)においては小切手も手形の一種とされていたが、1934年(昭和9)に小切手法が施行されたので現在では手形とは別にとりあつかわれ、手形には属さない。しかし小切手の法的性質は為替手形によく似ており、手形という言葉が小切手もふくんでもちいられる場合もある(商法501条4号。多数説)。

手形は小切手と同様に金銭による支払いの代替手段としてもちいられるが、それ以外にも手形の割引や手形貸付などのような金融の手段としてもちいられたり、金銭の直接的な取り引きによって発生する可能性のあるリスクを回避するためにもちいられるなど、広範な経済的機能を有している。それらの機能を適切にはたすことができるように、手形の安全性・流通性を確保するための制度が法律上さだめられている。

まず取り引きの安全性を確保するため、手形には次のような特性があたえられている。手形の権利が成立するためにはかならず手形の作成が必要とされ(設権証券)、権利の移転・行使についても手形証券が必要である。このように手形は権利と証券との結合がもっとも強固な有価証券であり、完全有価証券といわれる。手形の権利内容は手形に記載された文言によって決定される(文言証券性)。そして手形に記載された文言以外の原因関係(物の売買など、手形行為の原因となった関係)や、その原因関係がかけていたり問題があったりすることは、手形に影響をあたえないとされる(無因証券性)。さらに手形は、その権利の内容を確定し取り引きの安全性を確保するために、ある一定事項の記載を必要とする(要式証券性)。この記載事項の一つがかけても手形の効力は生じないが、流通の過程において後に補充されることを予定し、手形要件のいくつかを記載せずにふりだすことのできる白地手形が、一定の法律による保護のもと(手形法10条)みとめられている。

手形の流通性の確保のため、裏書によって手形を譲渡することが可能となっている(指図証券性)。手形所持人は、支払いまたは引き受けを拒絶されると、その前者である裏書人、および手形振出人(為替手形の場合)などに債務の履行を請求できることになっており(遡求権、償還請求権)、流通を填補(てんぽ)する制度が構築されている。

手形法は国際取引に有用であるため、手形法制度の世界的統一のための努力が国際機関によって永年おこなわれてきた。日本の手形法は、1930年ジュネーブで制定された「為替手形及約束手形ニ関シ統一法ヲ制定スル条約」にもとづいて制定されたものである。しかしこの条約にはアメリカやイギリスなどの貿易大国が加盟していないため、統一への努力は現在もおこなわれている。

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