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不登校

不登校 ふとうこう
百科事典項目
項目構成
I

プロローグ

からだの病気や経済的理由以外の原因で長期的にあるいは不定期に学校を欠席することをいう。「登校拒否」ともいわれるが、その数が増大するにつれ、「不登校」とよぶことが多くなった。毎年実施されている文部省(現、文部科学省)調査で「学校ぎらい」を理由に1年度中に50日以上欠席した児童・生徒を、以前は文部省も「登校拒否」とよんでいたが、1991年度(平成3)から30日以上欠席の調査がくわわり、98年あたりからは30日以上欠席の児童・生徒を「不登校」とよぶようになった。一般には、学校恐怖症、怠学といわれることもある。

1941年、アメリカで登校拒否についての最初の研究報告が学校恐怖症として出された。そこでは、学校にいこうとは思うのだが不安や恐怖感、緊張感がおきて登校できなかったり、病気ではないのに健康状態が異常に気になるなどの症状があって登校できない状態が報告されていた。実際に腹痛、頭痛、下痢、吐き気などの身体症状の訴えがある場合もある。現在でも、神経症的傾向の強い場合には学校恐怖症といわれる。さらに、うつ病統合失調症、妄想のために登校できない状態もある。

日本では1960年(昭和35)ごろからこの問題が表面化しはじめた。最初は神経症の一種と考えられていたが、神経症とは考えられない事例も多く、学校恐怖症にかわって登校拒否という言葉がつかわれだした。内閣府の「青少年白書」(1996:当時は総理府発行)によると、「登校拒否とは、主として何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的な要因・背景により、児童生徒が登校しない、あるいはしたくともできない状況にあること(ただし、病気や経済的な理由によるものを除く)」と定義されている。また、怠学といわれる、あそんだり非行グループに入ったりして登校しないケース、いじめにあって登校しなくなったケースなどもこれにふくめている。

II

原因

これまで、不登校の原因として個人の性格、たとえば自主性、自発性のとぼしさ、対人関係の未熟さ、感情のコントロールができないなどの原因が指摘されていたが、不登校の状態をしめす者には、感情の豊かさや純粋さ、すぐれた知的能力をもつ者も多い。また、親の干渉のしすぎや厳格すぎる態度、逆に親の放任などの家庭的な原因があげられていたが、これについても、不登校に特別な家庭的原因を指摘することはできない。教師の指導力のとぼしさや学校という環境の息苦しさなど学校に帰せられる原因や、学歴社会、知育偏重の教育、受験戦争、都市化や地域社会の変化といった社会的原因もあげられる。しかし、これらの原因のどれか1つに、不登校の原因をもとめることはできない。文部科学省の類型によると、次の5つの型にわけられる。



(1)「不安などの情緒的混乱の型」(登校の意思はあるがからだの不調をうったえて登校できない、漠然とした不安をうったえ登校しないなどの、不安を中心とした情緒的な混乱によって登校しない型)。
(2)「無気力型」(無気力でなんとなく登校しない型、登校させるために迎えにいったり、強く督促すると登校はするが長続きしない)。
(3)「遊び・非行型」(あそぶためや非行グループに入ったりして登校しない型)。
(4)「学校生活に起因する型」(いやがらせをする生徒の存在や、教師との人間関係など、明らかにそれと理解できる学校生活上の原因から登校せず、その原因を除去することが指導の中心となると考えられる型)。
(5)「意図的な拒否の型」(学校にいく意義をみとめず、自分の好きな方向をえらんで登校しない型)。

さらにこれらの「複合型」をふくめ、これにそった調査が全国の学校でおこなわれている。

III

不登校の実態

文部科学省によると、2004年度(平成16)に年間30日以上学校を欠席した「不登校」児童・生徒数は、全国の国公私立小・中学生あわせて12万3358人(前年度は12万6226人)。小学生で2万3318人(全体の0.32%)、中学生10万40人(全体の2.73%)で、調査開始以来最多であった01年度からは小・中全体で約1万5000人減少している。また、04年度の公私立の高校中退者は7万7897人(全体の2.1%)で、そのうち「学校生活・学業不適応」が37.4%を占めている。

IV

対応

日本で、不登校の問題が学校関係者などの間で注目されはじめたのは、1960年(昭和35)ごろからであるが、社会問題化したのは80年代である。この当時の対策としては、不登校に対する見方や指導方法をまとめた教師用手引書が作成されたり、各県2校の生徒指導推進校の指定、教員らへのカウンセリング研修、指導教員にゆとりをもたせるための教員定数の増加など、学校での生徒指導に重点がおかれていた。

最近の文部科学省は新しい対策として、2001年度(平成13)に、スクールカウンセラーを全国小・中・高等学校4400校に配置した。そのほか、専門のカウンセラー以外に身近な地域の人材(教職経験者や青少年団体指導者など)を「心の教室相談員」として学校に配置する制度を実施している。

また、教育委員会は、不登校児童生徒に対する指導のための「適応指導教室」を設置している。この適応指導教室は、教育センターなど学校以外の場所や学校の教室などにおいて、学校生活への復帰を支援するため、児童生徒の在籍する学校と連携をとりつつ、個別的なカウンセリング、集団での指導、教科指導を組織的、計画的におこなう組織として設置されたものである。

また政府は、規制緩和をすすめる構造改革特区の一環として教育特区推進プログラムを発表した。この制度を利用する自治体は、不登校児童・生徒を対象にカリキュラム編成が自由にできる学校の設置をみとめられ、また、フリー・スクールを運営しているNPO(非営利組織)などが不登校児童や生徒を対象にした少人数の学校をつくりやすくした。2003年4月に発表された構造改革特区認定第1弾57件の中に、不登校児童・生徒のための小中一貫の体験型学校を新設するという東京都八王子市の計画が入った。

推進プログラムにはさらに、インターネットをつかった学習をみとめることももりこまれている。このインターネットによる学習指導に利用できる教材の開発・普及活動に対して、文部科学省は2001年度から助成をおこなっている。

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