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一般に株式会社の株主は、会社がどれだけ利益を獲得してその利益をどれだけ分配してくれるかという経済的関心が強く、会社の経営については関心が小さい。そこで、会社の経営については専門家に委任しているが(所有と経営の分離)、この業務執行を委任されているのが経営の専門家である取締役である。
従来、商法の規定により、株式会社では会社の業務執行という広汎(こうはん)な権限を適切に行使するために、株主総会で3人以上の取締役を選任する必要があった。また、業務執行に関する意思決定をおこなう合議体は取締役会とよばれ、株式会社においては必要的機関とされてきた。これに対して、有限会社法で規定されていた有限会社では取締役は1人でもよく、複数いる場合でも、取締役会は必要とされていなかった。 2005年(平成17)に、商法の第2編会社を独立させ、有限会社法などを統合して制定された会社法は、会社類型を株式会社と持分会社にわけ、株式会社の組織設計を従来の有限会社を包括するかたちで柔軟なものに変更した。会社を株式の譲渡制限の有無、会社の規模という2つの観点から、株式会社を公開大会社(大会社とは資本金5億円以上、または負債200億円以上の会社)、公開中小会社、非公開大会社、非公開中小会社の4つにわけ、非公開中小会社での株主総会と取締役1人という機関設計をベースに、上にいくにしたがって必要な機関をつけくわえていくという設計とした。 もっとも上の公開大会社では、株主総会、取締役会(取締役は3人以上)、監査役会(→ 監査役)または3委員会(→ 委員会設置会社)、および会計監査人(→ 会計監査)をおかなければならないが、公開中小会社、非公開大会社ではより柔軟な設計が選択できる。かならずおかねばならなかった取締役会は、公開会社で強制されるが、非公開会社では任意である。 取締役は、会社の業務を執行し、対外的にはその株式会社を代表する。必須のものとされていた代表取締役は、会社法によりかならずおく必要はなくなったが、取締役会設置会社は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。その場合は、代表取締役がその会社を代表することになる。代表取締役に数の制限はない。
取締役の選任・解任は、株主総会の普通決議でなされ、任期は基本的には2年(最初の取締役の任期は1年)である。ただし、非公開会社では10年まで延長でき、委員会設置会社では1年となる。いずれも再任はさまたげられない。取締役の資格を株主に限定することはできないが、非公開会社においては、定款により株主に限定することは可能である。 取締役の欠格自由は法定されており(会社法331条2項~4項)、成年被後見人または被保佐人(→ 成年後見制度)、商事犯罪をおかして刑の執行終了から2年を経過していない者、その他の犯罪で禁錮(きんこ)以上の刑をうけその執行を終了していない者は、取締役になれない。破産宣告をうけ復権していない者も欠格とされてきたが、会社法でははぶかれた。 取締役がもつ権限は広く強大で、その意思決定は会社内外を問わず重大な影響をあたえる。したがって、取締役にはいくつもの重い義務と責任が課されている。具体的には、忠実義務(会社法355条)、競業および利益相反取引の制限(356条)、報告義務(357条)、会社に対する損害賠償責任(423条)、第三者に対する損害賠償責任(350条、429条)などがある。 なお、一般にいう「役員」「重役」の語は、取締役と監査役の総称としてつかわれることが多い。
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