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ミトコンドリア

ミトコンドリア Mitochondrion
百科事典項目
項目構成
I

プロローグ

細胞内に存在するカプセル状の小器官。細胞が活動するためのエネルギーを供給するために、糖や脂肪などをアデノシン三リン酸(ATP)というエネルギー源にかえる働きをしている。そこで、ミトコンドリアは細胞の「発電所」といわれる。ミトコンドリアが糖からATPをつくる過程で、酸化還元反応が頻繁におこなわれるため、この働きは細胞レベルの呼吸とよばれる。

ミトコンドリアは真核細胞(核が膜の中にある細胞)に存在する。細胞の中にふくまれるミトコンドリアの数は、その細胞の働きによってことなる。たとえば、筋肉細胞のように、とくにエネルギーが大量に必要な細胞は、ほかの細胞よりも多くのミトコンドリアをふくんでいる。ミトコンドリアは酸素を必要とする好気性菌とひじょうによく似ていることから、真核細胞に好気性菌が感染して共生するうちに誕生したと、科学者たちは考えている。

II

ミトコンドリアの構造

ミトコンドリアは2重の膜につつまれ、長さは0.5~1µm(マイクロメートル:100万分の1m)、の滑らかな外側の膜は内側の膜と液体でへだてられている。内側の膜は内部にたたみこまれて、クリステとよばれる構造体をつくり、液体のマトリックス(基質)をつつんでいる。このマトリックスの中にはたくさんの生物学的触媒である酵素や、ミトコンドリアデオキシリボ核酸(mtDNA)がある。mtDNAには直接タンパクを合成するための遺伝情報がはいっている。DNARNA

III

ミトコンドリアの働き

ミトコンドリアのおもな働きは、好気的呼吸をおこなって細胞が活動するためのエネルギーをつくることである。この好気的呼吸では、まず、細胞質内で糖や脂肪が分解されてピルビン酸になり、できたピルビン酸がミトコンドリアにはいって、一連の反応がおこる。その一部がクエン酸回路またはクレブス回路とよばれるものである。

この一連の反応でピルビン酸は酸化され、二酸化炭素と水素原子ができる。できた水素原子は特別な運搬分子によって、内側の膜のクリステまではこばれる。そして水素は電子伝達系(呼吸鎖)とよばれる膜に結合した1組の酵素・補酵素群にわたされる。

電子伝達系は10個の水素原子をそれぞれ電子(e-)とプロトン(H+)にわける。10個の電子は電子伝達系をすすみ、最後は酸素とプロトンとが結合して水になる。

電子伝達系で電子をやりとりして酸素とプロトンから水ができるとき、大量のエネルギーが放出される。このエネルギーを電子伝達系の5番目の構成成分がつかまえる。この5番目の構成成分がATPase(アデノシントリホスファターゼ)とよばれる、ATPを合成する酵素である。このATPaseは、アデノシン二リン酸(ADP)にリン酸基をくっつけてATPを産生する。このADPからATPができる経路をリン酸化という。

できたATPは宿主細胞の細胞質へ放出される。宿主細胞は、このATPをエネルギー源としてすべての反応をおこなう。そのとき、ATPはADPになり、細胞はADPをミトコンドリアにもどして、ふたたびリン酸化に利用する。

IV

最近のミトコンドリアの研究

ミトコンドリアは哺乳類の場合、母親のみを通じて遺伝するため、真核細胞をもっている生物の祖先を追跡するためにつかわれている。細胞が分裂するとき、ミトコンドリアは核とは無関係に複製をおこない、2つの娘細胞(細胞分裂後にできる細胞)は細胞質が分裂するときに、それぞれミトコンドリアの半分をうけとる。一方、卵子が受精するときには、精子のミトコンドリアはシッポの部分にしかないので、卵子の外にのこされる。こうして、受精卵は母親のミトコンドリアだけをうけつぐ。したがって、子供のmtDNAは、母親のそれとまったくひとしくなり、これをたどっていけば、祖母、曽祖母…と母系の祖先をたどることができる。

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