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    九州・沖縄水中考古学協会会報 第1巻・第1号 1991年1月31日発行 水中考古学に思う 西谷 正(九州大学文学部教授)

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水中考古学

水中考古学 すいちゅうこうこがく
百科事典項目

水中にある遺跡や遺物などを調査する考古学。19世紀のスイスにおける湖上住居跡の確認をきっかけに、スキューバを発明したフランス人学者クストーが、世界各地の海底遺跡の調査をはじめた。以後、ヨーロッパでは地中海の沈没船調査が盛んになり、1960年代には水中考古学会も組織される。なかでも、スロックモートンらによるトルコ沖の青銅器時代の遺跡の調査は多大な成果をあげた。その後、潜水技術の向上にともない、フランス、イタリアなどを中心に貴重な発見があいつぐ。

近年はアレクサンドリア沖でクレオパトラの王宮と推定される建物が発見されたり、アジア地域でも東シナ海で中世の沈没船が韓国や中国の研究者の手であいついで調査されている。

日本では、江戸時代に琵琶湖瀬戸内海の水中から考古遺物がみつかった記録がのこるが、明治末期に琵琶湖底から漁網で土器がひきあげられたのがよく知られる。1959年(昭和34)、琵琶湖総合調査のため湖北の葛籠尾崎(つづらおざき)湖底遺跡の調査がおこなわれたが、水深70mにはばまれて到達はできなかった。本格的な研究がはじまるのは68年に北海道江差町沖でおこなわれた、戊辰戦争の箱館戦争のときにしずんだ開陽丸の引き揚げ調査からである。

その後、琵琶湖、諏訪湖網走湖底などで着実に調査例が増加し、琵琶湖では粟津(あわず)湖底遺跡で貴重な縄文時代の貝塚を発見した。さらに長崎、福岡両県の沿岸地域では、1980年代になってモンゴル襲来時の沈没元船の調査が継続的に実施され、印章、土器、碇(いかり)など多くの遺物が発見されている。

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