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1972年11月16日、国際連合(UN)の専門機関UNESCO(国連教育科学文化機関:ユネスコ)の総会で採択された「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)によって、国際的に保護が必要とみとめられた自然環境や文化財をいう。これらは、世界じゅうの国々や民族がほこる文化財や自然環境のうち、とくに人類共通の宝物として未来の世代にひきついでいくべきものとされている。 世界186カ国(2009年4月現在)が加盟する世界遺産条約の実行機関としては、21カ国の専門家からなる世界遺産委員会(WHC)がおかれ、年に1回会合を開き、加盟国から推薦された自然遺産、文化遺産の候補を検討し、世界遺産リストを作成している。2009年7月現在、148カ国にわたる文化遺産689件、自然遺産176件、両方をかねそなえた複合遺産25件、合計890件が世界遺産リストに登録されており、これらの世界遺産は、世界遺産委員会が管理する世界遺産基金によって保護され、調査費用の援助や技術援助、技術者の研修などの活動がおこなわれている。
世界的に貴重な遺産の保存と保全の問題でもっとも重要な点は、だれが責任をもつのかということである。多くの国々では政府が責任をもって、歴史地区や野生生物保護区、公園などをもうけて、貴重な遺産とされる区域の保護に努力をしている。そして、これらは地方自治体や州政府、あるいは国家レベルで管理されていることが多い。だが、そのような活動を効果的に実施できるだけのインフラストラクチャーが整備されていない国や、資源のとぼしい国もある。公害や政情不安などによって、貴重な区域が危機におちいっているところも多い。
そのため、いくつもの国際機関が設立され、歴史的、文化的に重要性の高い場所を認定し、保護することになった。これらの機関は、人類共通の遺産というべき場所や建造物は、個々の国だけでなく、むしろ世界じゅうの人々の責任においてまもるべきである、という信念にもとづいて設立された。 この任務を遂行している国際機関は、世界遺産委員会のほかにもいくつかある。たとえば、国際記念物遺跡会議(ICOMOS:イコモス)、国際自然保護連合(IUCN)、文化財の保存および修復の研究のための国際センター(ICCROM)、世界記念物基金などである。 国際記念物遺跡会議は1965年に環境保全の専門家機関として創設された。ここでは文化的記念物の保全と復元に関する基準をさだめ、また保全の技術や記念物の管理について専門家による討論の場をもうけて、各国政府や世界遺産委員会の諮問機関の役割をはたしている。国際自然保護連合は48年に創設され、天然資源の環境保全に焦点をあてている。この機関は政府、政府機関、およびNGO(非政府組織)で構成されている。文化財の保存および修復の研究のための国際センターは政府間レベルの機関で、56年に創設された。これは修復技術の訓練をおこなったり、絵画などの動かせる物をふくむ文化的資産の専門知識を提供している。世界記念物基金は、65年に創設された非営利の国際機関で、貴重な記念物的建築物や美術品の保護をおこなっている。破壊の危機にある建築物を認定し、保存に関する資金援助などが主な仕事である。
世界遺産委員会はUNESCOによって1972年に創設され、世界遺産、とくに記念建造物、建物群、普遍的な価値をもつ自然の景観を保全、保護している。「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)の加盟国は、自国内の登録世界遺産の保存協力に同意しており、この条約によって世界遺産委員会は、文化遺産および自然遺産の保存と維持を管理する国際法的機関として機能している。活動範囲が広く、全世界を網羅しているため、人類にとって重要と思われる区域の認定、保全、保護においてもっとも影響力のある機関となっている。
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