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脳の一部であり、体内の活動を調節するのに重要な役割をはたす。視床下部の容積は脳全体の1%にみたないが、性行動や感情、ホルモンの産生や自律神経系、体温調節など、多くの体の働きに重要な影響をあたえる。→ 脳
ヒトの視床下部は、約4gの重量があり、眼の後ろ、視床のすぐ下、脳下垂体の上に位置している。視床下部はいくつかのはっきりした核にわけられ、これらの核は神経細胞体のかたまりでできている。これらの神経は脳を視床下部につなぎ、視床下部は事実上すべての神経系領域とつながっている。また、視床下部は、生殖器や乳首の性感帯や、内臓、欲求や衝動に関係している脳の辺縁系からの神経刺激をうけとる。
視床下部は、以下のようなさまざまな働きを調節する。 自律神経系の「闘争や逃走」に関係する反応を指令する。恐れや興奮は信号になって、視床下部につたえられる。それが引き金となって、心拍数がふえ、呼吸がはやくなり、瞳孔が広がって、血流量がふえる。また、血糖値や体の水分量を監視して、食欲や喉(のど)の渇きを調節し、睡眠や性行動の調節もする。 摂食行動を調節する。ラットをつかった実験では、視床下部の中央部をこわすと、ラットは食べすぎて肥満になり、下部をこわすと、食べるのを拒絶して飢えてしまうことが明らかにされた。しかし、ヒトでは、意思決定が、食べたりのんだりする行為に大きく影響するため、ヒトの視床下部は齧歯類ほど重要ではない。たとえば、習慣や癖のほうが実際の空腹よりも食べる量にあたえる影響が大きいことが明らかにされている。 視床下部は心血管系その他の自律神経系にも影響する。このような視床下部の働きは、心と体の協調をたもつために必須である。たとえば、運動の前に必要な変化が体におこるようにはたらく。 また、視床下部は体温をコントロールするサーモスタットであると考えることができる。震えをおこさせたり、血管を収縮させたり、拡張させる。また、環境の温度情報をキャッチして大脳につたえ、服を着たりぬいだり、日かげに身をかくすなどの行動をひきおこす。
脳下垂体からでるホルモンを調節している。オキシトシンとバソプレシン(抗利尿ホルモン)は、視床下部のコントロールをうけている脳下垂体ホルモンである。 オキシトシンは出産(→ 妊娠と出産)のときに子宮を収縮させる。また、出産を開始させ、維持させるのにも関係している。授乳は、これが刺激となって乳首から視床下部へむかう神経経路をつたわり、オキシトシン分泌の引き金となる。こうして分泌されたオキシトシンの刺激で、乳房から乳児へながれでる母乳の量がふえる。また、赤ちゃんの泣き声もオキシトシンを分泌させる。これは、視床下部が脳のほかの部分とつながっていることをしめしている。 バソプレシンというホルモンは腎臓にはたらいて、尿から再吸収される水の量をふやす。こうして体内の水分量がたもたれる。視床下部が、血液がこいと感じると、脳下垂体を刺激して、バソプレシンをもっとつくらせる。血液がうすいと、脳下垂体に命令して、バソプレシンの放出量を少なくさせる。 視床下部のある部分は、体のサーカディアンリズム(日内リズム)の調節にかかわっている。サーカディアンリズムは、日照時間と暗い時間の周期に関連していて、このため24時間の間に血液中のホルモン濃度が上下する。たとえば、血糖値をあげる作用がある副腎皮質ホルモン(→ 副腎)の濃度は、朝の目ざめの直前にきまって高くなる。これは、一晩ねむっている間は食べたりのんだりしないため、覚醒直後は血糖値がさがって有害作用があらわれる可能性があるためである。
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