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多くのイルカは海に生息しているが、ごく一部のグループは淡水の河川でくらしている。これがカワイルカである。ヨウスコウカワイルカやガンジスカワイルカなど、5種類が知られている。ヨウスコウカワイルカは頭胴長約2m、体重200kg程度。ガンジスカワイルカは頭胴長約2.5m、体重90kg程度である。 2001年(平成13)に東京工業大学の研究グループが遺伝子分析をおこなった結果、ガンジスカワイルカは、マッコウクジラとイルカなどほかのハクジラ(歯鯨:→ クジラ)との間をうめる約3000万年前の原始クジラ(→ パキケタス)の流れをくむ「生きた化石(遺存種)」であることが判明した。また、三重県伊賀市にある約1700万年前の地層からガンジスカワイルカにつながる系統の祖先の化石が発見されている。01年に名古屋大学の研究グループは、新生代第三紀の前期中新世に生息していたダルピアジニ科の新種であることをつきとめ、復元をすすめている。
にごった川などでくらすカワイルカ類は、目が小さく、視覚はあまり発達していない。そのかわりに聴覚を発達させた。インドのガンジス川水系やブラマプトラ川水系に生息するガンジスカワイルカや、パキスタンのインダス川水系のインダスカワイルカなどでは、目が完全に退化し、水晶体(→ 目)さえないため、明暗を感じることしかできない。けれども超音波を出すことで、魚をさがしだし、捕食している。いずれのカワイルカも生息環境の急速な悪化にともない個体数が減少している。そのため、インドおよびパキスタン両政府とも保護区を設定するなど対策をおこなっているが、絶滅が心配されている。
カワイルカ類の発達した額の下には、メロンとよばれる脂肪の塊があって、超音波をレンズのように収束させ、また発生させることができる。このメロンをつつみこむように発達した上顎(うわあご)の骨がパラボラアンテナのような湾曲した形になっていて、この骨に超音波を反射させることで、思いのままの方向へ超音波を発射することができるのである。そして、はねかえってきた超音波の時間差や周波数の変化などから、周囲のようすや獲物の存在を探知している(→ 反響定位)。
南アメリカ大陸のアマゾン川およびオリノコ川水系に生息するアマゾンカワイルカは、ガンジスカワイルカよりも大型で、視力もすぐれている。しかし、脳は他のイルカ類よりも発達しておらず、長い吻(ふん:目よりも前、口元まで)には毛が生えているなど、古いイルカの形態をもっている。現在、アマゾン川周辺地域の開発によって絶滅の危険性が高まっており、2006年の世界自然保護連合(IUCN)のレッドデータブックでは絶滅危惧種に指定されている。また、南アメリカ大陸南東部の大西洋側にすむラプラタカワイルカは、ほかのカワイルカが淡水域でくらすのに対して、沿岸部や河口付近の塩水域でくらしている。
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