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正式にはConvention on Wetlands of International Importance especially as Waterfowl Habitat、「とくに水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」という。この条約でいう湿地(ウェットランド)は、一般につかわれる湿地の定義よりも広く、多様な水辺環境のことで、浅瀬や定期的または不定期に冠水する土地などもふくまれる。また、水鳥の生息地保全のためだけではなく、登録された湿地のほかにも広く湿地の生態系と生物多様性を保護し、賢明な利用につとめることに重点がおかれ、各国がとるべき措置が規定されている。2008年11月現在、締約国158カ国、登録湿地数1820カ所、合計面積は約1億6800万haにおよぶ。
1971年にイランのラムサールで開かれた全権会議で採択された国際環境条約で、世界各国の重要な湿地の保全を目的としてむすばれた。これは、しばしば世界で初の自然保護にかかわる多国間条約だといわれるが、発効は73年に採択されたワシントン条約と同じ75年だった。湿地帯については保全より開発を志向する傾向が強く、各国の取り組みが消極的だったためである。条約の発効後も顕著な成果はみられなかった。 このラムサール条約の締約国になるには、国内の湿地を少なくとも1カ所は指定し、条約事務局に登録しなければならない(第2条)。日本は1980年(昭和55年)に釧路湿原の一部を登録して条約締約国になった。日本では2008年(平成20年)11月現在、37カ所、総面積13万1027haの湿地が登録されている。 条約が活性化したのは1990年代に入ってからで、その原動力となったキーワードは「賢明な利用(ワイズ・ユース、第3条)」であり、開発途上国基金の創設だった。とくに、93年に釧路市で開かれた第5回締約国会議では賢明な利用を主題として審議がおこなわれ、注目をあつめた。それは、本来の湿地の姿をまもりながら、湿地からの恩恵をうけ、利用していこうというものである。また、2002年にスペインのバレンシアで開催された第8回締約国会議において「湿地復元の原則と指針」が採択された。これは、開発の代償措置として湿原を復元するのではなく、より積極的に国の湿地保全政策の中にくみこまれることを目的としている。そして、湿地復元にあたっては最終目標や達成基準を明確にすることや、地域住民とともに計画を作成し、復元の結果をモニタリングしながら管理していくことなどがガイドラインとして指摘されている。 締約国には、条約によって定義されている湿地、つまり河川(→ 川)、湖沼(→ 湖)、湿原、沼沢地、泥炭地、サンゴ礁、マングローブ林(→ マングローブ)、干潟、低潮時に水深6m以下の海域などを包括するウェットランドなどは、たとえ登録されていなくても、自然保護区をもうけて管理する(第4条)という一般的義務が課せられている。しかし、この義務は、多くの国でじゅうぶんには実施されておらず、日本もその例外ではない。重要湿地として登録されると各国は保全や管理をすすめ、3年に1回開かれる締約国会議で保全状況を報告する必要がある。また、2008年に韓国のチャンウォン(昌原)で開催された第10回締約国会議では、水田がもつ生物多様性の保全にはたす役割に注目して、日本と韓国が共同で提議した「湿地システムとしての水田における生物多様性の向上」(通称、水田決議)などが採択された。
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