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企業の財政状態および経営成績に関する情報を利害関係者に対して提供するために、複式簿記(→ 会計と簿記)の記録から誘導して決算において作成される報告書。 会社法では計算書類とよばれており、株式会社では貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表、事業報告、付属明細書より構成される。持分会社である合同会社においては、貸借対照表、損益計算書、社員資本変動計算書、個別注記表である。
決算において作成される年度財務諸表にくわえて、証券取引法は会計年度を1年とする会社に対して、上半期を対象とする中間貸借対照表と中間損益計算書からなる中間財務諸表の作成を要求している。ちなみに、アメリカの証券取引法は四半期ごとの中間財務諸表の作成を要求している。日本でも証券取引所の要請にもとづき上場会社の四半期財務情報の開示が定着しつつあり、さらに金融審議会において四半期開示のあり方について検討されている。 年度財務諸表も中間財務諸表も個々の企業を対象とする「個別財務諸表」である。これに対して「連結財務諸表」は、企業集団全体の財政状態および経営成績に関して、親会社あるいは持株会社が作成するものである。会社法は、連結計算書類として、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結注記表をさだめている。
財務諸表の作成基準として、「真実性」「明瞭性(めいりょうせい)」「継続性」の3原則がある。「真実性」については、財務諸表は「慣習的方法」や「経営者の判断」などにより作成されるために、そこにしめされるのは「客観的真実」でなく、「相対的真実」である。 したがって、財務諸表を参照するにあたっては、それがどのような会計方針で作成されたかを確認しておくことが重要である。そのため、「会計方針」は財務諸表の重要な注記事項とされている。また、会計方針を変更することは、結果を予定した利益操作にもつながるために、原則として、会計方針の変更はみとめられていないとする「継続性の原則」がさだめられている。 会社法は取締役による計算書類などの作成と株主への提供を義務づけており、大会社(資本金5億円以上または負債総額200億円以上の株式会社)に対しては、株主総会終了後、遅滞なく貸借対照表および損益計算書またはそれらの要旨の公告を義務づけ、その他の会社に対しては、貸借対照表またはその要旨の公告を義務づけている。公告方法には、官報への掲載、日刊新聞紙への掲載、電子公告の3つがあり、官報および新聞紙掲載の場合が要旨公告の対象となる。 また、証券取引法は、一定の企業に対して、次のような財務諸表の公開を要求している。1億円以上の資金を証券市場で調達しようとする会社に対しては、内閣総理大臣に「有価証券届出書」を提出することを義務づけ、さらに上場有価証券の発行会社に対しては、各事業年度終了後3カ月以内に「有価証券報告書」を内閣総理大臣に提出することを義務づけている。
財務諸表に対する信頼性を高め、投資家や債権者などの利用者を保護するために、公認会計士による「財務諸表監査」が導入されている。大会社にはその会計監査人をおくことが義務づけられており、その他の中小会社では任意である。 財務諸表監査は、財務諸表が一般にみとめられた会計基準に継続的に準拠して、企業の財政状態および経営成績を適正に表示しているかどうかを、会計および監査の専門家である公認会計士または「監査法人」(公認会計士法34条の7により、5人以上のすべてが公認会計士である社員がつくる特殊法人)が、一般にみとめられた監査基準に準拠して実施するものである。 この財務諸表監査は、19世紀末にイギリスからアメリカにつたえられた公認会計士監査が、経営者目的の「不正・誤謬(ごびゅう)摘発監査」、金融機関目的の「貸借対照表監査」をへて、1930年代に投資家保護目的監査として成立した。 企業の内容は貸借対照表が表示する「流動性」も重要であるが、損益計算書が表示する「収益性」の重視が投資家保護の目的に合致するために、財務諸表監査は会計原則と企業が採用する原則および手続きとの突き合わせを重要視している。 日本において、財務諸表監査は、まず投資家保護制度の一環として「証券取引法監査」に導入され、ついで、「監査特例法」の「会計監査人監査」として株主保護目的にも採用されるにいたった(その後、監査特例法は会社法に包摂された)。→ 会計監査 → 財務分析
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