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日本に古来からつたわる製鉄炉のこと。また、しばしばこの炉を中心とする古来からの製鉄設備全体をさすこともある。たたらで製鉄をおこなう工程を、たたら吹きという。 たたらの基本は、地面の上に粘土で高さ1mほどの長方形の炉をつくり、木炭をいれて燃焼させ、温度が上昇すると木炭と砂鉄を交互に投入し、炉の下にある多数の羽口から鞴(ふいご)で送風し、砂鉄を還元する。3昼夜ほど連続して燃焼させるが、一連の工程を一代(ひとよ)という。操業している間に、炉も砂鉄と反応し鉄滓(からみ、かなくそともいう)を生成する。炉の耐久性から、古い時代には、一代で炉も破壊して還元された鉄をとりだしていた。
たたらとは、相撲用語に「たたらを踏む」という表現がのこっているように、本来は、鞴とくに足踏みの鞴をさしていた。古くからの表記としては、多々良、踏鞴、鑪、高殿などの文字がつかわれた。たたらという言葉は、日本各地に地名や姓としてのこっているが、インドに由来するものという説がある。インドのある地方の言葉で「タータラ」とは熱をさしていて、溶解炉を意味するという。ほかに銑鉄をさすズクという言葉もインドにあるといわれる。
たたらの操業法には、安山岩質の風化した地層に多く産出する赤目(あこめ)砂鉄から銑(ずく)をつくる銑押(ずくおし)法と、花崗岩質の地層から産出する真砂(まさ)砂鉄からケラをつくるケラ押法とがある。銑押法は古くからあり、ケラ押法は14世紀に開発されたといわれている。 赤目砂鉄は、ケイ素が少なく、真砂砂鉄はケイ素が多い。銑押法によってできる銑の炭素含有量は3%以下で、これからできる鉄を生鉄(なまがね)とよび、おもに鋳物にした。銑押法は、燃焼を終了させてから、溶融した銑を炉の底部にある湯地穴(ゆじあな)からながしだし、砂の上で凝固させた。 ケラ押法は、炉の燃焼が終了すると炉をこわし、底にたまったケラの塊を放置するか、鉄池(かないけ)という池にいれて冷却する。ケラは炭素含有量1%以下、融点が1450°Cの鋼となり、品質を選別して製品とする。このケラのうち、とくに上質なものが玉鋼(たまはがね)あるいは造鋼(つくりはがね)とよばれ、日本刀などの刃物の材料となる。→ 刀剣
日本列島で製鉄がいつから開始されたかは、はっきりしない。各地の発掘調査からは、縄文時代終末期の前5世紀末ごろに、北九州で大陸からつたわった鉄器が使用されはじめたと考えられ、前1世紀には製鉄がおこなわれ、九州から中国地方、近畿へと普及していったと推定されている。初期の鉄器は、大陸から輸入された半製品を原材料にしていたらしい。 古墳時代の巨大な古墳からは、鉄器が重要な副葬品として出土する。3~5世紀の出土品では、鉄剣、鉄鏃(てつぞく)など鉄製武器の量がふえ、鉄製の甲冑(かっちゅう)なども出現する。また鉄製農具もふえて、5~6世紀には古墳の副葬品に馬具がくわわる。
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