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宇宙飛行(→ 宇宙探査)の際に食べる食べ物。長期保存がきき、軽量で簡単に調理できること、少量で栄養がみたされ栄養バランスのよいこと、無重量状態に起因する筋肉や骨の衰えをふせぐためカルシウムやタンパク質の多い食品であること、ガスや排泄物(はいせつぶつ)をふやす炭水化物や食物繊維が少ないもの、などのさまざまな条件がある。無重量状態での食事に適した容器をもちい、フリーズドライ(凍結乾燥)やレトルト(加圧加熱殺菌)などの方法(→ 食品加工)で長期保存にたえる工夫がなされている。
宇宙ではじめて食べ物を口にしたのは、1961年、旧ソビエト連邦(ソ連)のウォストーク2号にのって25時間を宇宙ですごしたチトフだった。アメリカでは、62年にマーキュリー6号(フレンドシップ7)で地球を3周したグレンが最初の宇宙食を食べているが、マーキュリー時代(1961~63年)の宇宙食はアルミ製チューブに入ったペースト状のものか、一口サイズの固形食にかぎられ、飛行士に不評だった。アポロ時代(1968~72年)にはお湯がつかえるようになり、水やお湯でもどした食べ物をスプーンをつかって食べられるようになった。つづくスカイラブ(1973~74年:→ 宇宙ステーション)では冷凍冷蔵庫や加熱用トレイがそなえられ、ふた付きアルミ缶入りの食べ物を温めることができるようになった。現在のスペースシャトル(1981年~)には、高性能の電気オーブンがつみこまれ、日常の食べ物に近いメニューが用意されている。
現在の宇宙食は、主として、フリーズドライ食品、レトルト食品、缶詰、ドライフルーツなどの半乾燥食品、クッキーやナッツなどの自然形態食品に大別される。スクランブルエッグ、ライス、スープ、オレンジジュース、コーヒーなどはプラスチック製の袋に真空パックされ、水や湯をくわえて食べる。ステーキやフライドチキンはレトルトパウチや缶に入っており、オーブンで加熱する。野菜や果物などの生鮮食品は賞味できる日数がかぎられているが、定期的に宇宙ステーションにとどけられる。 また、各宇宙飛行士の好みもとりいれられ、1992年のスペースシャトル「エンデバー」の毛利衛(まもる)の飛行の際は、赤飯、レトルトカレー、梅干し、かき餅(もち)などがつみこまれた。94年の「コロンビア」での向井千秋の飛行では、多くの日本の家庭料理がつみこまれたが、これは「アメリカ人のクルーに日本の文化を知ってもらいたい」という意向で、全国から宇宙にもっていきたい日本の家庭料理をつのった結果である。稲荷(いなり)ずし、タコ焼き、炊き込みご飯、肉ジャガ、サケの南部焼き、菜の花のぴり辛和えなどの料理が、フリーズドライやレトルト加工されてつみこまれ、船上でミニパーティが開かれてクルーたちによろこばれたという。2005年には野口聡一が「ディスカバリー」で宇宙用につくられたインスタントラーメンを食べている。これらは、NASA(アメリカ航空宇宙局)とロシア連邦宇宙局が供給する一般食以外にみとめられた特別食だったが、国際宇宙ステーション(ISS)では、アメリカとロシア以外の参加国が開発した宇宙食も一般食として採用されることになり、07年、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、宇宙日本食の第1弾として、日本茶、インスタントラーメン、サバの味噌煮(みそに)など29品目を認証した。
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