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熱帯の森林生態系のうちで、もっとも種の多様性にとむ生態系は熱帯雨林である。熱帯雨林は主として赤道地帯に発達しており、とくに大きくまとまった熱帯雨林は中南米、東南アジア、西アフリカに存在する。熱帯雨林は地球上の陸地の6~7%を占めるにすぎないが、地球上に現存する生物種の半数をこえる種が生育、生息するとみつもられている。
熱帯雨林の生態系を構成している環境の特徴は高温と多湿である。高温と降雨は四季を通じてかわらず、年降水量は少なくとも2000mmから、多い場合は1万mmにも達する。赤道をはなれるにしたがって雨季と乾季の差がみられるようになり、そこには熱帯季節林が出現する。熱帯雨林にくらべ種の多様性はおとるが、それでも温帯のどんなタイプの森林よりも種の多様性は高い。 イギリスの植物学者ウィットモアらは、中央アメリカのコスタリカにおける低地熱帯雨林の調査で、熱帯雨林の種の多様性をあらためて明らかにした。わずか100m²の調査地点に233種の維管束植物をかぞえたのである(1985年)。これはテニスコートの半分ほどの面積に、イギリス全体の植物種の約6分の1に相当する種が存在するということをしめしている。 熱帯雨林の林冠は閉鎖的で、日光が地上に達するのをさまたげているが、それでも、林冠と樹幹および林床は、それぞれことなる多種多様な動物のハビタットとなっている。熱帯雨林の中でもとりわけ豊かな林冠の生態系については、現在くわしい調査がすすめられているところである。
熱帯雨林の生態系の大きな特徴は、土壌には栄養物質がとぼしいが、ほかの生態系にはあまりみられない高い生物生産力がそなわっていることである。年間の純生産量は2.0kg/m²から3.5kg/m²ほど、生物体量(バイオマス)は、どんな生態系よりも大きく45kg/m²、ときには80kg/m²をこえる。言葉をかえれば、熱帯雨林は世界でもっとも莫大な量の植物資源のある所で、大規模な森林伐採は、ここに目をつけておこなわれてきた。 熱帯雨林の伐採は毎年、日本本土の半分に相当する面積におよび、とくに1960年代から70年代にかけての伐採ははげしく、熱帯諸国全体で平均年率約0.6%、面積にして約7300haが破壊されたという統計もある。
伐採は木材の採取だけではなく、人口の急激な増加にともなう農地や農園の拡大、それにともなう移住(インドネシアのスマトラ島パプアなど)によっても、大々的におこなわれてきた。さらに森林火災(→ 山火事)も熱帯雨林の消失に拍車をかけている。 たとえば1987年にブラジルでは、火災によって2000万haの森林がうしなわれたが、このうち800万haは熱帯雨林であった。 原因をエルニーニョと関連づけられることもあるが、インドネシアの森林火災は、焼畑ではなく、アブラヤシの植え付けのためにはなった火が、異常な乾燥によって拡大したものである。1997年と98年にはスマトラとカリマンタンだけの焼失面積でもは約750万ha(南米のパナマ全土とほぼひとしい)に達し、インドネシアの熱帯雨林生態系に大きなダメージをあたえた。 熱帯雨林の伐採には、最大の用材輸入国である日本も深く関与しており、伐採後の植林にとどまらず、生態系の復元という見地からの貢献がのぞまれる。
日本の国土は南北に長く、温帯が大部分を占めるが、小笠原諸島や南西諸島(琉球諸島)は亜熱帯であり、生物地理学上は東洋区にふくまれ、とくに南西諸島の種の多様性は、本土をはるかにしのいでいる。
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