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熱帯を中心にみられるサンゴ礁は、とびぬけて種の多様性にとむ生態系である。たとえばオーストラリア東北部の世界最大といわれるグレートバリアリーフは、南北に約2000km、面積は34万9000km²もあり、造礁サンゴ(→ サンゴ)が約350種、軟体動物が400種、魚類が1500種も記録されており、そのほかにも多種多様な無脊椎動物がいることはいうまでもない。
日本のサンゴ礁生態系は、鹿児島県の南部を北限に、主として南西諸島に点在する。なかでも、八重山列島の石垣島東岸にある白保サンゴ礁は、新空港建設計画をめぐって全国的に知られるようになった。 沖縄県の本土復帰後、急速な開発と環境破壊によって、同県のサンゴ礁が壊滅的な打撃をこうむったのに、白保のサンゴ礁は、ほとんど影響をうけず健全な状態をたもってきた。白保のサンゴ礁生態系には、北半球では最大最古のアオサンゴ群落があるだけでなく、造礁サンゴをはじめ生物種の多様性にとんでいる。 魚類学者のジャック・T.モイヤー博士は、わずか100m³の範囲で150種もの魚類を確認したほどである。白保のサンゴ礁の種の多様性の高さは、造礁サンゴの種類がグレートバリアリーフのそれをうわまわることによっても明らかだ。
サンゴ礁を形成する造礁サンゴは褐虫藻を共生させているが、この褐虫藻がサンゴ礁生態系のもっとも基本的な階層を構成している生産者である、沖縄県のサンゴ礁の多くが死滅したのは、サンゴを食うオニヒトデの大発生と、流入した赤土がサンゴ礁をおおって、褐虫藻の光合成をさまたげたためである。赤土の流入は今もサンゴ礁をおびやかしている。 世界のサンゴ礁は60万km²で、地球の表面のたった0.1%だが、確認されている種は9万種をこえている。世界全体で、われわれが知っている生物種は170万種であるから、サンゴ礁生態系の種の多様性は高い。 しかし、サンゴ礁生態系は環境のわずかな変化にもたえられないもろい生態系で、「石灰岩の土台の上においた生命のうすっぺらい板」といわれる。今は世界的に保全の強化が必要な生態系なのである。
南極大陸は世界でもっとも高緯度にある、つまり赤道からもっとも遠い大陸であり、もっとも寒冷な気候の大陸である。「種の多様性は、ほとんどすべての生物において熱帯地方に近づくほど増加する」という法則を、裏がえして南極大陸にあてはめれば、種の多様性が低い大陸ということになる。確かに南極大陸には、わずかな生物しか生息していない。広大な中央高地や内陸の山岳地域で生物をみることは、ほとんど不可能である。
南極大陸には、陸上生態系の形成に必要な土壌は地表に露出していない。地表全体の97%は、平均216mというあつい氷床におしつぶされている。地球上の淡水の80~90%は、この氷床なのである。 南極大陸で生物の多様性について論じることができるのは、ごくかぎられた沿岸部と南極半島である。この南極半島も大陸の一部のようにみえるが、氷床によってつながっているだけで、じつは島なのだという説がある。
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