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島の生態系の特質のひとつに、しばしば「もろさ」が指摘されてきた。この「もろさ」を裏づけているのは、島の生物の絶滅速度の速さだろう。
ヒトの足跡が全世界におよびはじめた17世紀の初頭から、今日までに鳥類や哺乳類、爬虫類の絶滅の大部分が島でおこっていることは事実である。さらに今、絶滅の危機にさらされている種が多いのも島の生物である。南西諸島と小笠原諸島をあわせても全国土面積の1%にすぎないが、絶滅種、絶滅危惧種、危急種は植物で全体の28%、動物では40%を占めている。 このデータは、面積の広い本州や北海道に比較すると、島の生物が危機的な状態にあることをじつによくものがたっているが、同時に島には、それぞれに固有種が多いこと、特有の多様性がそなわっていることがわかる。小笠原諸島や南西諸島が「東洋のガラパゴス」といわれるゆえんである。
島の生態系は進化の生きた教科書である。そこから最初に進化の道筋を読みとったのは、ダーウィンであり、ウォーレスだった。島、とくに大陸から遠くはなれた海洋島では、かぎられた種から、環境がゆるすかぎりの適応放散がおこなわれるし、「草から木」への進化がみられたりする。 ハワイ諸島のハワイミツスイ(→ ミツスイ)は22種にわかれ(うち7種が絶滅)、ガラパゴス諸島のダーウィンフィンチ(→ フィンチ類)は14種に分化した。それぞれの種は、大陸ではほかの科の鳥が占める生態的地位を、1つの科の鳥たちが占めているのである。
草から木への例は、小笠原諸島ではキク科タンポポ亜科のアゼトウナ類に属する固有の3種のうち2種が低木に変化している。茎の下半部がまぎれもなくかたい木質なのだ。 キク科の植物は、維管束植物の中でも世界の多くの島々に進出しているが、とくによく知られているのはガラパゴス諸島の木になったスカレシアである。ここには20種近いスカレシアが自生し、高さが10mをこえる種をはじめ、すべて2~3mの木本になっている。 キク科の植物は、島の植生に生態的地位のすきまがあれば、そこにはいりこむだけでなく、木本が欠けていれば草から木になり、生態系の有力な構成種ともなる。
「島岐の生物地理学(ロバート・マッカーサー、エドワード・ウィルソン)」の種平衡の理論によれば、島に生息する種の数は、新しく移入してくる種の率と、島にいたものが絶滅する率とのバランスによって生じる。 島の種の多様性をきめる環境条件は複雑である。島の面積の大小、大陸との距離、大陸の種の多様性などとの相関関係があるからである。しかし、島の生態系が孤立した環境になりたっていることと、移入種の侵入や開発の影響をうけやすい、もろいものであることは確かである。 それにもかかわらず、大規模な開発や新たな移入種に在来種がおびやかされ、撹乱されつつある島の生態系は枚挙にいとまがない。最後に日本での近年の憂慮すべき移入種のケースをあげておく。三宅島のイタチと奄美大島のジャワマングースである。
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