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民族国家とほぼ同義で、共通の言語、文化、伝統による国民的一体性を基盤として形成された近代国家(→ 国家)をさす。国民国家は政治社会の一つの構成様式であり、近代の西ヨーロッパで発生し19世紀に全盛をむかえた。歴史的には、領域的な分裂を克服して統一し、地理的広がりにおいてすでに国民国家と同規模になっていた絶対主義国家が、市民革命あるいはナショナリズムをへて実現した近代国家の一形態である。
人種、言語、文化を同一にする人々の集団を通常「エスニック集団」(→ エスニシティ)というが、それに対して「ネーション」とは国民的一体性を主観的に共有する「想像の共同体」のことである。その意味で、国民国家は近代国家の建設途上において、ネーション(国民)を人為的に創設した試みの産物といえる。近代の領域国家は、主権のおよぶ領域とネーションとしての「想像の共同体」を一致させるべく、国旗や国歌を定め、教育やメディアを通じてネーション感情を形成する。
イギリスやフランスのようにはやくから比較的長い期間をかけて国民的一体性を達成した国では、フランス革命時の「人権宣言」(→ 権利宣言)に典型的にみられるように、市民革命の理念がナショナリズムの主張とむすびつき「国民国家」が正当化される。つまり、同一のネーションに帰属するという意識の浸透が体制の民主化過程と同時に進行し、国民国家への一体感が抽象的な人民主権の理念に具体性をあたえた。
ドイツやイタリアの場合は、19世紀後半に急速に上から国民国家の形成が実現された。この場合には政治参加の保証とは無関係に政治統合のシンボルとして国民国家への一体感が利用されたため、市民革命と国民国家の結び付きが弱く、ネーションが実体的にとらえられやすい。非西欧地域において市民革命をへることなく対外的危機を契機に国民国家を形成した明治維新後の日本の場合も、同様な問題をかかえていた。
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