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文書、石碑、木簡など同時代の文献記録がのこされている時代の考古学。それらの豊富な記録によって歴史を知ることのできる時代を歴史時代といい、その時代を対象とする考古学が歴史考古学である。歴史考古学は、文献史学の成果を生かし、建築史学や美術史学などの協力によって対象とする時代の歴史像をきめ細かく復元することができる。
ヨーロッパでは、考古学の成立期にすでに対象とする時代の中心が文献記録のあるギリシャ、ローマ時代(古典古代)だったため、考古学は本来、歴史時代を網羅する研究分野ということができる。ギリシャ、ローマ時代の考古学は一般に古典考古学とよばれ、文献記録のない先史時代の考古学は先史考古学という。一方、アメリカでは考古学自体が人類学の補助学として考えられているため、やや認識がことなる。また、産業革命以降の産業遺跡、事物を対象とする歴史考古学は、産業考古学ともよばれる。
日本では、文字資料ののこる飛鳥時代以降が歴史考古学の対象とされ、第2次世界大戦後に歴史時代の遺跡の発掘が盛んにおこなわれるようになった。最近では現代にいたるまで歴史考古学の研究をする傾向がみられる。これにより、中世考古学、近世考古学、江戸考古学、近代遺跡考古学、戦争・戦跡考古学などとよばれる新しい研究領域が提唱されている。 こうした歴史考古学では、本来、考古学が対象とする遺物、遺構、遺跡などを、すでに知られている文献史学とあわせ、さらに美術史学、建築史学など学際領域の研究と関連させてみていこうとする。 たとえば、1986年のデパート建設工事で発掘された奈良市の長屋王家跡では、周辺地域もふくめて11万点におよぶ木簡が出土し、それらに書かれていた文字と文献資料の照合によって同遺跡が長屋王の邸宅跡である可能性がでてきた。また、滋賀県の安土城跡の発掘調査では、金箔瓦片が出土し、歴史書にある織田信長の安土城が豪壮なものであった事実の一部が証明された。また、東京汐留(しおどめ)の旧国鉄操車場跡からは明治初期の日本初の鉄道駅が発掘され、錦絵(→ 浮世絵)に描かれた赤レンガの一部がみつかっている。 このほかの歴史考古学の成果としては、奈良県明日香村で次々とみつかっている飛鳥池遺跡や酒船石遺跡といった飛鳥京の遺跡群、奈良市の平城宮(→ 平城京)跡、神奈川県鎌倉市内各地でみつかっている鎌倉時代の遺跡、福井市にある戦国期の一乗谷朝倉氏遺跡、広島県福山市にある中世の草戸千軒町遺跡、中世に日本海交易の拠点だった青森県五所川原市の十三湊遺跡(とさみなといせき)などがよく知られている。
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