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広義には植物の一部分を適当な長さに切り、用土に挿して幼苗をえることをさす。狭義では茎葉部をつかうもののみをさし、葉をつかうものは「葉挿し」、根をつかうものは「根挿し」や「根伏せ」という。また、草本類の挿し木を「挿し芽」ということもある。挿し木は、取り木や接ぎ木にくらべて容易なため、栄養生殖法の中ではもっともふつうに利用される。
茎葉部をもちいる狭義の挿し木では、枝のどの部分をつかうかによって、天挿(てんざ)しと管挿(くだざ)しにわけられる。天挿しは枝の先端の数節をつかうものであり、管挿しはその下の部分の数節を使用する。また、ふつうは春にのびた枝がかたくしまってから挿し木につかうが、前年以前に発生した古い枝をつかうこともあり、その場合は新年枝挿し、旧年枝挿しとよびわける。 草本類の挿し木は短期間で発根するが、木本類は発根までに期間がかかり、コニファー(針葉樹)のように半年以上かかるものもある。数カ月にわたって植物の湿度をたもち、水を切らさないようにすることはたいへんむずかしい。そのため、挿し木したのち、ビニールなどで完全に密閉する密閉挿しや、霧状の細かい水滴を発生させるミスト装置をもちいたミスト繁殖などの方法がつかわれている。 また、木本類では木質化した枝を挿し木につかうことが多いが、カキなどはその方法で発根せず、緑枝(りょくし)挿しとよばれる、木質化する以前の生長中のわかい枝をもちいる方法で挿し木をおこなう。 ドラセナ類やゴム類などでは葉がおちた茎の部分を挿し木につかうことがある。長さ10cmくらいに切った茎を使用するが、茎の下側を用土に挿す場合と、茎を横にねかせて半分だけ用土にうめる方法があり、前者を茎挿し、後者を茎伏せとよぶ。
葉柄をつけた葉1枚をつかう場合と、葉そのもの(葉身)をいくつかに切りわけたものを挿す方法がある。前者はセントポーリアやスミレなどで利用される方法で、用土に葉柄の部分を浅く挿す。すると切り口から発根し、その後に数株の子株が切り口から発生してふえる。後者はベゴニアやサンセベリアでよく利用される方法で、葉を切りわけるときに、切片の中心部に主脈や側脈などの太い葉脈がのこるように切るとよい。→ 葉
太い根を長さ2~3cmに切り、用土の上にねかせるようにならべ、うすく土をかぶせて発根、発芽するのをまつ方法である。根伏せともよぶ。 なお、葉挿しや根挿しができる植物はどちらかといえば少なく、ごくかぎられた種類にのみもちいられる。また、斑入り植物で葉挿しや根挿しをおこなうと、多くの場合、斑(ふ)がなくなったものや葉緑素をまったくもたない白子(しらこ)の子株が発生する。
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