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ベンゼンカルボン酸Benzenecarboxylic Acidともいう芳香族化合物の一種。芳香族カルボン酸(→ カルボン酸)の中で、もっとも簡単な構造をもつ。天然にも単体として遊離していたり、金属塩(→ 塩)や、エステル、アミドの形で存在する。マメ科の熱帯性高木バルサム(ペルーバルサム)の分泌する樹脂、安息香gum benzoin、赤色樹脂dragon's bloodに多く存在しているところから命名された。イチゴ類には0.05%程度ふくまれる。 化学式C7H6O2。分子量122.12。融点122.4°C。沸点249.2°C。
熱水から再結晶される無色で鱗片状(りんぺんじょう)もしくは針状の結晶。水100gには0°Cで0.17g、20°Cで0.29g、50°Cで0.85g、80°Cで2.75g、95°Cで6.80g溶解する。エタノールやエーテル、クロロホルムなどの通常の有機溶媒には溶解しやすいが、石油エーテルには溶解しにくい。飽和水溶液(→ 飽和溶液)は、25°CでpH2.8である。酢酸と同程度の酸の強さで、昇華性がある。
トルエンをコバルトやマンガンなど、金属を主体とする触媒をつかって直接酸化(→ 酸化と還元)する製法が主流である。実験室的には、三塩化ベンジリジンを加水分解してもできる。
安息香酸の用途としてもっとも多いのは、塩化ベンゾイル工業で、ビニル樹脂(→ 塩化ビニル)の重合に重要な役割をもつ過酸化ベンゾイルの原料になる。フェノールやカプロラクタムの工業的製造原料でもあり、アルキド樹脂の改質にももちいられる。 微酸性で強い防腐効果があるので、食料品の防腐剤として広くもちいられている。アルカリ性の環境下では防腐効果が急激に低下する。動物が摂取しても体内には蓄積せず、肝臓でグリシン(→ アミノ酸)と結合して尿中に排出される。 不凍液の防食剤や、繊維の媒染剤、化粧品、香料、医薬品原料などに使用されるほか、ナイロン原料のカプロラクタムなど多くの合成の中間体としても有用である。また、安息香酸は高純度のものを精製できるため、酸の一次標準物質としてアルカリ溶液の標定にももちいられる。
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