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鋼の顕微鏡で観察される組織名で、発見者のアドルフ・マルテンスに由来する。オーステナイト状態を急冷(焼入れ)することによって生じる鋼の組織で、過剰に炭素を溶解していて硬いがもろい。本来は鋼の組織だけでいわれたが、拡張されて、急冷や応力によって、拡散によらずに緻密で針のような組織を生成することをマルテンサイト変態というようになっている。合金やセラミックなどでもみられる。
炭素鋼を常温から加熱すると、910°C以上では鉄がa鉄からg鉄に変態して、ふくまれている炭素が内部に過剰に溶解した状態になる。この組織の状態をオーステナイトといい、オーステナイト状態から水中、油中などにつけて焼入れすると、炭素がごくわずかだけ溶けこんだまま凝固する。純鉄に近い状態のフェライト(a鉄の組織名)と炭化物とに分解する時間的な余裕がないので、炭素をむりやり過剰に溶解したままマルテンサイトになる。
焼入れしたままの鋼は、硬度は高いがもろいため、かならず焼戻しして軟らかさと靱性(ねばり強さ)をもたせてから材料として使用されている。マルテンサイトを焼戻しすると、フェライトと炭化物に分解して、フェライトの地に細かい粒状の炭化物が分散したセメンタイトという組織ができる。焼戻し温度を高くするほど鋼はしだいにやわらかくなり、また靱性が向上する。
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