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建物の内側と外側など、空間を区画するためにもうけられる構造物。床や天井が空間の上下の広がりを区画限定するのに対し、壁は地面や床からほぼ垂直に構築され、空間の横への広がりを区画限定する。
壁は内部の空間を、外敵や外部の環境の変化からまもるためにもうけられる。城や都市の周囲にめぐらされる城壁や市壁は、蓄積された資産や人命をまもるためにつくられ、壕(濠、堀:ほり)とともに防衛にかかせない建築物である。一般の建物では、床、天井、壁によって空間を区画し、囲いこむことで、建物の内部が形成される。 建物の壁の場合は、外周にあって内部空間と外部空間を区画する壁を外壁、内部空間を区画する壁を間仕切り壁とよぶ。また、構造的には床や屋根の荷重をささえる壁を耐力壁、そうでない仕切りだけの壁を非耐力壁という。
壁材には、それぞれの地域でもっとも手にいれやすい材料が利用される。木材資源の少ないメソポタミアでは、まず土壁がつくられ、前6000年ころには天日で粘土をかためた日干し煉瓦がつかわれるようになる。その後前2000年ころには焼成した煉瓦が利用されるようになり、前9世紀以降には表面に釉薬をぬった煉瓦タイル(→ タイル)も登場した。エジプトでは、神殿建築の壁は石材で建築されたが、住宅では日干し煉瓦がつかわれた。 古代ローマ(→ ローマ史の「共和政期」)では、石や煉瓦を積んだ壁のほか、天然のセメントを利用したコンクリート造りの壁もつくられた。この壁は型枠をかねて焼成煉瓦を積み、その内部にコンクリートをながしこんでかためたもので、表面には化粧材として石材をはったり、漆喰をぬったほか、壁画をえがいたものもあった。 ヨーロッパでは、その後も壁材は石材や煉瓦が中心となった。中央ヨーロッパの民家では、木造の軸組構造のすきまに石や煉瓦をつめたハーフティンバーという壁がみられる。一方、木材資源の豊富な北ヨーロッパでは、丸太小屋(ログハウス)のように木を積んで壁をつくる民家も少なくない。
竪穴住居の時代にも、草や木をつかった簡単な間仕切り壁はあったと考えられるが、形式がある程度わかる壁としては、板壁がもっとも古い。古代の板壁は横方向に板をならべて積む形式で、耐力壁でもあった。伊勢神宮の蔵の中に、この古い板壁の形式をつたえるものがある。しかし、伊勢神宮の正殿では、板壁は非耐力壁となり、柱の間に横板がはめこまれただけである。
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