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外国に対する漠然とした憧れをさすが、より狭義には、文学作品や芸術作品で芸術的効果をねらって異国の風物を題材とすることをいう。エキゾティシズム。ここでいう「異国」とは、多くの場合、想像によってつくりだされたものであり、ときには現実にはありえない荒唐無稽(むけい)なものとなる。
見知らぬ異国に思いをはせ、想像の世界にあそびたいのは人間共通の性質であるため、芸術における異国趣味は、どんな時代にも、またどんな地域にも見いだされる。日本の場合、その系譜は、安土桃山時代から江戸初期にかけての南蛮趣味(→ 南蛮文化)から、大正期の芥川龍之介、北原白秋らの耽美(たんび)的南蛮趣味へとつらなる。 一方、ヨーロッパでは18世紀以降、異国への関心が大きな文化的潮流となり、それは19世紀末に頂点に達する。トルコとの接触や「千夜一夜物語」の翻訳によるイスラム文化への関心は、オリエンタリズムの流行をよび、やがては東洋学を生む。また、美術工芸の分野で18世紀に広く普及した中国趣味(シノワズリー)は、20世紀初頭にふたたび流行し、日本趣味(ジャポネズリー)とならんでインテリア・デザインにこのんでとりいれられた。→ インテリア・デザインの「アンピール様式・ビクトリア様式の装飾」
文学における異国趣味は、ホメロスの「オデュッセイア」や、「千夜一夜物語」の「シンドバッドの冒険」(→ 船乗りシンドバッド)からはじまるが、絶頂をむかえるのは19世紀のロマン主義時代である。世界共通の「普遍性」をよしとする古典主義に反発し、「個別性」「異質性」を追求するロマン主義文学にとって、自分たちとは異質な未知の文化は格好の素材となった。列強による植民地政策ともあいまって、えがかれる地域は多様化し、新大陸を舞台とするシャトーブリアンの「アタラ」(1801)、「ルネ」(1802)や、コーカサス(カフカス)情緒あふれるレールモントフの「現代の英雄」(1840)などが書かれた。 しかし、20世紀後半以降の情報交通網の発達にともない、未知の地はしだいに地球上から駆逐されたのであり、現代においては、文学にとって「異国」はかならずしもあつかいやすい素材ではなくなってきているといえよう。
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