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深海底の細長い溝状の地形で、最深部が水深6000mより深いものをいう。ほとんどの海溝は大陸縁辺部にあり、海洋プレート(→ プレート)の沈み込み境界(→ 沈み込み帯)にともなって生じた地形のみを海溝とするのが一般的である。しかし地形的な面だけから、明らかに沈み込み以外の原因によって生じた同様の地形、たとえば大西洋中部の中央海嶺にそったロマンシュ海隙(かいげき)など、大洋中のトランスフォーム断層による断裂帯(→ 海嶺)なども海溝とする意見もある。
一方、明らかに沈み込みにより生じたものでも、最深部が6000mより浅い場合には海溝とはよばず、トラフとよぶ。たとえば南海トラフの最深部は4800mである。トラフは、舟状海盆(しゅうじょうかいぼん)と同義であり、海溝より浅く幅広い凹地で、あくまでも形態のみで分類される用語である。 また、海溝の中で測量により地形が明らかになった区域の最深部を海淵(かいえん)といい、通常、発見や測量をした船の名を冠して、マリアナ海溝のチャレンジャー海淵(→ チャレンジャー号航海)、ケープジョンソン海淵(フィリピン海溝最深部)などのように使用している。だが、測量技術の普及とともに海溝の全体がかなり明らかになった現在は、海淵という語が新たにつかわれることはない。1968年より国際的な水路測量用語からも抹消されている。
海溝の上縁の幅は約100km、付近の大洋底からの深さは3000~4000m、しずみこむプレートの年代が古いほど海溝の最深部も深くなる傾向がある。大部分の海溝の地形的断面は非対称のV字形で、大陸側斜面が急傾斜、海側斜面が緩傾斜をなしている。大陸側斜面の途中では急な階段状の地形がみられる所が多く、海洋プレート上の堆積物が付加されている所もある(→ 付加体)。海側斜面には、しずみこむ海洋プレートが下へとまがる部分であるので、海溝軸にほぼ平行にはしる断層地形がみられ、海側上端には周辺の海底より500~1000mほどふくれあがった部分(マージナル・スウェル:海溝周辺隆起帯)がみられる。 多くの海溝の大陸側には火山帯と地震帯が海溝にそってつらなり、岩石の比重の違いから生ずる負の重力異常帯も海溝またはその内側にそってみられる。深発地震の震源は、海溝から大陸にむかって30~60度の角度で徐々に深くなる傾斜面上に分布する。
海溝のほとんどは北アメリカ西岸をのぞいた太平洋に分布し、太平洋の東側には、水深が浅くて大陸縁辺にそった形の中米海溝(中央アメリカ海溝。最大深度6662m)、ペルー海溝(6262m)、チリ海溝(8170m)がつらなっている。西側にも、深くて弧状に湾曲し、島弧にそった形のアリューシャン海溝(7679m)、千島・カムチャツカ海溝(9550m)、日本海溝(8020m)がある。この海溝の連なりは、フィリピン海盆をはさむ形で二手にわかれ、南にむかっては、伊豆・小笠原海溝(9780m)、マリアナ海溝(1万920m)、ヤップ海溝(西カロリン海溝。8946m)、パラオ海溝(8054m)へとつながっている。また日本列島の南岸にそった方向へは、相模トラフ(→ 相模湾)、南海トラフ、南西諸島海溝(7460m)、フィリピン海溝(1万57m:→ セレベス海)とつづき、パラオ海溝の南端で両者が合流する。 さらにニューギニア島の西方には、ニューブリテン海溝(8940m。→ 珊瑚海)があり、サンクリストバル海溝(南ソロモン海溝。8322m)へつづき、北フィジー海盆をとりかこむ形で東メラネシア海溝(ビーチャシ海溝。6150m)、北ニューヘブリディーズ海溝(サンタクルーズ海溝。9175m)、南ニューヘブリディーズ海溝(7570m)につらなっている。また、サモアとニュージーランドの間には、トンガ海溝(1万800m)、ケルマデック海溝(1万47m)などがある。 一方、インド洋にはジャワ海溝(インドネシア海溝。7125m)、大西洋にはプエルトリコ海溝(8605m)とサウスサンドウィッチ海溝(8325m)しか存在しない。 →海底地形の「大陸縁辺部」:プレートテクトニクスの「火山性島弧と沈み込み帯」:海洋の「海洋底の構造」
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