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非線形な波動方程式の解で、空間的にかたよった場所にあり(局在)、その形をくずさず伝播(でんぱ)していき、衝突によってもみだされることなく、個別性をたもつ波の総称。空間的に局在する波は「孤立波(Solitary Wave)」とよばれるが、とくに「衝突によってみだされない」などの粒子的性質をもつ場合、「孤立(Solitary)」に粒子をあらわす接尾語(-on)をつけて、「ソリトン(Soliton)」とよばれる。→ 波動
1834年にスコットランドの造船技士ジョン・スコット・ラッセルは、急停止したボートが運河の水面につくった波を観測した。その波は幅10m、高さ50cmぐらいの形をたもったまま、減衰することなく運河を伝播していった。スコット・ラッセルは、そのようすを1.6km以上もウマで追跡したという。彼はこの後、浅い水の水面にできる波を実験的に研究し、このような孤立波ができる条件をみつけた。 1895年、オランダの物理学者D.J.コルテベークとG.ド・フリースが、水深の浅い水面で波の方程式をつくり、その解の中に孤立波があることを確認した。後にコルテベーク=ド・フリース方程式(KdV方程式)とよばれることになる方程式である(→ 代数解析学)。 1965年には、アメリカの物理学者N.J.ザブスキーとM.D.クルスカルがKdV方程式に、粒子的ふるまいをする解があることをみつけた。波どうしがぶつかっても形をかえずにとおりぬけるもので、これを「ソリトン」と名づけた。やがていろいろな物理現象に登場する非線形微分方程式に、ソリトン解があることがわかった(→ 線形と非線形)。線形方程式にしたがう波も空間に局在させることはできるが、この場合、波はすぐに形をくずしてしまう。しかし方程式に非線形性があると波の分散をくいとめる作用がはたらき、波が局在したままで進行していくことがある。これがソリトンである。
水面にそそりたつようにできる波は、ソリトンの好例である。南半球で発生した津波がはるばる日本にまでつたわるのも、津波がソリトンだからである。ほかにも磁性体のスピン波、固体やプラズマ中をつたわる波、さらには木星の大赤斑(だいせきはん)など、さまざまな物理現象はもちろん、生態系や交通量など、非線形方程式にしたがう数理モデルがもちいられる現象にもソリトンはあらわれる。 ソリトンの、遠くまで形をくずさずに伝播するという性質は通信に応用できる。光ファイバー通信への応用は実験的には成功しており、高密度で情報をおくることが可能になるのではと期待されている。
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