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肉眼ではとらえにくく、顕微鏡でしかみえないような微小な生物の総称。分類学的には細菌類や原生生物などの単細胞生物がおもで、これらの分類群に属するものは比較的大型のものでも微生物とよばれる。多細胞生物でも、構造が単純な藻類などは微生物とよばれることがある。ウイルスは単独で生きていくことができないので、厳密には生物といえないが、もっとも小さな病原体として微生物にふくめられることが多い。
肉眼にみえない小さな生物がいることをはじめて明らかにしたのは、17世紀半ばのオランダの顕微鏡学者アントニ・レーウェンフックで、彼が「微小動物(animalcules)」とよんだものの中には原生動物、細菌そのほかがふくまれていた。当初は分類がさだまらず、微生物の生物学的な意味もながらく不明であった。ようやく19世紀半ばに、ドイツの細菌学者フェルディナント・コーンらによって細菌の分類学が確立され、それと並行して2つの分野で微生物、ことに細菌の役割が解明されはじめる。 ひとつは発酵の研究で、ドイツの博物学者テオドール・シュバンや、フランスの生化学者ルイ・パスツールによって、発酵が酵母という微生物の働きであることが証明され、生命の自然発生説にとどめをさすことになった。もうひとつは、晩年のパスツールにはじまり、ドイツの細菌学者ロバート・コッホによって大成される病原細菌学である。感染症の原因が微生物であることを証明し、現代医学の成立をうながした。
コッホの時代には、すべての感染症の原因は細菌であると考えられていた。しかし、やがて牛の口蹄疫(こうていえき)やタバコのモザイク病などで、細菌濾過器(ろかき)を通過した濾液の中に病原体があることがわかり、濾過性病原体とよばれることになった。→ タバコモザイクウイルス 後になって、その実体はウイルスであることが判明するが、じつは濾過性病原体の中にはウイルス以外の微生物も存在する。たとえばリケッチアやマイコプラズマなどで、これらは現在では広い意味の細菌にふくめられているが、通常の細菌よりもずっと小さく、ウイルスとの中間の大きさしかもたない。
微生物の中にはいろいろな発酵菌やペニシリン菌など人間の役にたつものも多く、古くから醸造業や医薬業界などで利用されてきた。近年では、細菌によるプラスチック分解などの応用微生物学的な研究もおこなわれている。また、きわめて小さく、成長速度がはやく、突然変異を誘発しやすいなどの特徴をもつため、分子生物学、分子遺伝学などの生物学の広い分野で、とくに細菌とウイルスが実験材料としてよくつかわれる。
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