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アメリカで開発された高度な防空能力をもつ水上艦艇で、本来は空母機動部隊の防空のために開発された。その呼び名は、搭載されている防空システムにつけられた「イージス」という名による。イージス(Aegis)とは、ギリシャ神話の最高神ゼウスが知恵・学芸・工芸・戦争の女神アテネにあたえたとされる盾(たて)を意味し、高い防空能力からその名が採用された。 アメリカのタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦、日本のこんごう級ミサイル護衛艦などがあげられる。
アメリカで最初に建造されたのがタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦で、1番艦の「タイコンデロガ」は1983年に就役し、94年までに27隻が建造された。満載排水量9590トン(3~5番艦は9407トン、6番艦以降9466トン)、全長172.8m、対空ミサイル発射機、対艦ミサイル発射機、127mm砲などを装備する。 つづいて建造されたのがアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦で、タイコンデロガ級が改造艦であったのに対し、はじめからイージス艦として建造された。1番艦の「アーレイ・バーク」は1991年に就役し、2002年までに37隻が就役、さらに建造がつづけられている。満載排水量8422トン(29番艦以降は9217トン)、全長153.6m、対空ミサイル発射機、対艦ミサイル発射機、127mm砲などを装備する。 自衛隊のこんごう級はアーレイ・バーク級を原型にしており、1番艦の「こんごう」は1993年(平成5)に就役、98年までにさらに3隻(「きりしま」「みょうこう」「ちょうかい」)、合計4隻が建造された。基準排水量7250トン、全長161m、対空ミサイル発射機、対艦ミサイル発射機、127mm砲などを装備する。
イージス艦は、空母をのぞけば現代の水上艦艇の中で、もっとも高価な軍艦といえる。その特徴は搭載するイージス・システムにある。そもそもイージス艦はイージス・システムを搭載した艦というよりは、イージス・システムを搭載するためにつくられた艦といったほうがよい。 イージス・システムは、冷戦中の1970年代に、ソ連軍の脅威が高まる中、空母部隊に対する航空機、艦船、航空機から発射される大量の対艦ミサイルによる同時飽和攻撃に対処する目的で、アメリカが開発したものである。その主要な機能は、強力で同時多数目標対処能力をもつフェーズド・アレイ・レーダーと、その情報処理装置にある。 フェーズド・アレイ・レーダーは、細かいアンテナ素子をたくさんならべた固定式レーダーで、一般のレーダーのようにレーダーアンテナを機械的に回転させる必要がなく、全周を常時監視することができる。このため同時に多数の目標への対処が可能で、イージス・システムの場合、154といわれる多数の目標を同時に探知、処理、追跡し、このうち同時に18の目標に対空ミサイルをむけることができるといわれる。探知距離も約500kmと飛躍的にのびている。 対空ミサイルは従来からアメリカ海軍で使用されているスタンダードミサイルの発展型だが、誘導方式を工夫したことでそれまでに数倍する約100kmもの射程をえている。ミサイルはタイコンデロガ級の初期は旧来の連装式のミサイル発射機を装備していたが、垂直発射機が実用化されて、対処時間が減少するなどの性能向上がはかられている。ミサイル搭載数はタイコンデロガ級が122発、アーレイ・バーク級およびこんごう級が90発(アーレイ・バーク級最新型は96発)だが、この中には対空ミサイル以外も混載される。
日本の海上自衛隊は、2001年のアメリカ同時多発テロ後のアメリカ軍を中心としたアフガニスタンでの軍事行動を支援するためインド洋に艦艇を派遣したが、02年12月、新たにイージス護衛艦「きりしま」がインド洋に派遣され、翌03年1月に護衛艦「ひえい」と交代した。また、03年4月には、「きりしま」と交代するために、新たに「こんごう」が派遣された。 これまで派遣されてきた護衛艦にくらべてイージス護衛艦は、上記したように、情報収集、処理能力が格段に高く、また居住性などの点でもすぐれており、活動の効率化に大きく貢献することになった。しかし一方では、その高性能ゆえにアメリカ軍と情報を共有することが可能で、アメリカ軍の軍事行動を情報面から直接支援することになれば、憲法が禁じている集団的自衛権に抵触するという批判の声も強い。
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