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自由貿易協定とは、「物品については、協定締結国間のすべての貿易について実質上関税その他制限的通商規則を廃止し(GATT第24条)、サービス貿易については、相当の範囲の分野を対象として自由化する(GATS:サービス貿易に関する一般協定第5条)協定」である。 すべての加盟国に対して最恵国待遇をあたえるのがWTO協定の原則(GATT第1条)であるが、域外国に対する関税その他の通商規則をより制限的にしないこと、妥当な期間内(通常10年以内)に関税などの撤廃をおこなうという条件のもとで、WTOは自由貿易協定を最恵国待遇の例外としてみとめている。 関税その他の制限的通商規則が、実質上すべての域内原産品の貿易について廃止されている2つ以上の関税地域の集団を「自由貿易地域(Free Trade Area)」という。したがって、自由貿易協定とは、「締約国間で自由貿易地域を結成、あるいは、サービス貿易を自由化する協定」ともいえる。自由貿易協定には、2国間協定のほか、EFTA(ヨーロッパ自由貿易連合:1960年)、NAFTA(北米自由貿易協定:1994年)などの多国間協定や、サービス協定であるEEA(ヨーロッパ経済地域:1992年)などさまざまな形態がある。
自由貿易地域の要件にくわえて、同盟の各構成国が、共通関税・通商規則を域外諸国に適用する単一の関税地域が「関税同盟」である。その例としては、EU(ヨーロッパ連合)の前身であるEEC(ヨーロッパ経済共同体:1958年)があげられる。 さらに程度のすすんだ地域統合形態として、資本・労働など生産要素の移動制限を撤廃する共同市場や、経済政策の調整をはかる経済同盟があり、EUは経済同盟から完全な統合へむかって深化をつづけているが、WTO協定の定義では関税同盟に分類されている。自由貿易協定および関税同盟の協定を、総称して地域貿易協定(RTA:Regional Trade Agreement)とよぶ。地域貿易協定を締結した国は、WTOへ通報し、審査をうけなければならない。
WTO設立以降、地域貿易協定に、関税撤廃などの自由貿易協定の要件にくわえて、サービス・投資・人の移動の円滑化、競争の促進、電子商取引など、幅広い分野にわたる事項をもりこむことが多くなった。このように締約国間の経済取引の円滑化や制度の調和などをふくむ経済全般の連携強化をめざす協定は、経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)とよばれる。経済連携までふくめた協定は、多数国が参加するWTO協定では合意がむずかしいため、地域貿易協定にもりこまれるようになったのである。 この協定は、自由貿易協定を核としていることから、広くは自由貿易協定にふくまれるが、経済全般の連携を強化するという意味を強調するために、経済連携協定と称することが多くなっている。
FTA締結による経済効果は、域内諸国の貿易障壁撤廃によって域内産品価格が関税分ひきさげられ、域内諸国間の貿易量がふえる(貿易創出効果)。その反面、生産効率の高い域外国からの輸入はへることになる(貿易転換効果)。前者の厚生増大分が、後者の厚生減少分をうわまわるとはかぎらない。 このように、FTA締結によって世界の一部地域で自由貿易を実現しても、世界的な厚生の増大がもたらされるとはかならずしもいえない。しかし、このような一時点の静態的効果にとどまらず、異時点間の動態的効果を考えれば、競争促進、対内直接投資増大などによる技術革新や資本の増加によって、生産性の改善や生産量の増大がもたらされ、厚生の増加が期待される。 以上にくわえて経済連携協定は、資本、労働など生産要素の移動によって、資源の最適配分に近づく効果をもつ。また、経済関係の緊密化にともなって、国際政治面での関係強化も期待される。
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