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天然繊維に対して、人工的につくられる繊維のこと。原料や製造法によって、再生繊維、合成繊維、半合成繊維、無機繊維に分類される。当初、化学繊維は高価な絹の代替をめざして開発され、現在では全繊維生産量の半分以上を占めている。衣料やインテリアのほか、自動車、土木、農業などさまざまな産業、分野で使用されている。
化学繊維をつくるには、ポリマー(高分子化合物)の原材料を高い温度に熱したり溶媒をつかってとかした粘性の高い液体を、小さい穴(ノズル)からおしだすことにより糸にする。これを紡糸(ぼうし)という。紡糸には、加熱・溶融した原料を空気気流の中で冷却・固化する「溶融紡糸」、溶媒にとかした原料を熱風中におしだして溶媒を蒸発させて固化する「乾式紡糸」、溶媒にとかした原料を凝固液中におしだして固化する「湿式紡糸」がある。ノズルの形により繊維の断面の形を円形やうすいリボン状などのさまざまな形にできる。 穴から出たあとの繊維を長くひきのばすと、糸の中で高分子が長さ方向に配列し、強度がます。また、ひきのばし(延伸)の仕方によって、強度や弾力性などを調整することができる。ちがった性質の原材料をくみあわせたり、糸の形や強さなどを思いどおり設計できたりすることから、天然繊維にない機能や肌触りをもつ多種多様な素材をつくれるのが化学繊維の利点といえる。
再生繊維は天然繊維をいったん化学的にとかし、繊維がとけた溶液から紡糸する。大まかに分類して、植物の細胞壁の主要成分であるセルロース(繊維素)を原料にするセルロース系と、牛乳やトウモロコシなどのタンパク質を原料につかうタンパク質系の再生繊維がある。 商業生産された最初の化学繊維であるレーヨンはセルロース系の再生繊維である。1864年にフランスのシャルドンネ伯がニトロセルロースを原料に糸(硝化法レーヨン)の製造に成功、89年のパリ万博に「シャルドンネの糸」として出品した。ただニトロセルロースはワタ(綿)に硝酸を作用させた火薬原料であるため、きわめてもえやすく、衣料品への応用はできなかった。92年に英国のクロス、ビバン、ビードルの3人が発明したビスコースレーヨンは、木材パルプを原料にし、パルプ中の天然セルロースを化学的にとりだし繊維状に再生した。吸湿・吸水性にすぐれ、いろいろな染料によく染まるのが特徴で、衣服やカーテンといったインテリアなどに使用されている。 レーヨンの仲間にはキュプラがある。綿花の種子のまわりにある短繊維(コットンリンター)を原料とし、銅アンモニア法とよばれる製法で再生した。1918年にドイツのベンベルグ社が良質なキュプラの商品化に成功したため、「ベンベルグ」(商品名)とよばれることもある。細い糸ができ、やわらかい感触がある婦人服や和服などに使用される。→ 銅アンモニアレーヨン
合成繊維は低分子量の化合物を化学反応(重合)でたくさんつなげてつくった高分子材料をノズルからおしだして糸にする。さまざまな種類があるが、生産量が多いポリエステル、ナイロン、アクリル繊維の3つを3大合成繊維とよぶ。
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