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地図学は、地図をつくる科学で、それを利用することの研究もふくむ学問分野である。地理情報の収集と、収集した情報の蓄積と管理、処理、編集にくわえて、地理データを地図という形であらわす表現法までがこの分野にふくまれる。地図作成に役だつ技術や道具だけでなく、その地表の地理を熟知している必要があり、地理学とは不可分の関係にある。
地図作成の起源は古代までさかのぼる。何世紀もの間、手書きの地図や海図は、地理学者や探検家らが実際にその場へいってあつめた情報をもとにつくられていた。地図の作成には何年もかかるのが常識だった。その結果、現代の地図ほど正確ではなかったにせよ、当時の手書きの複製地図は、今では考えられないほど貴重なものだった。→地図の「地図の歴史」 初期の地図は、軍事作戦や国の境界線を引くためなど、特別な目的をもって作成されたものが多かった。こうした目的のために地図を作成した古代ローマやエジプトの地図学者は、とくに博学だったことで知られる。 今も昔も地図学者は、いかに正確な地図をつくり、能率よく複製し、流通させるかを模索している。地図学の歴史の中で、地図づくりは昔から、科学技術とともに発展してきたが、科学技術の発展がまた地図作成の必要性に直面してきたのである。
地図作成は印刷機の発明によって飛躍的に進歩した。それまでは手書きでしか写せなかった地図が量産できるようになったからである。ヨーロッパでは15世紀にグーテンベルクの活版印刷機の発明があり、まもなく印刷機による地図の量産化がはじまった。印刷機によって地図作成にかかる時間が短縮され、地図の価格もさがったために新しい地図市場が生まれていった。
ルネサンス以前のヨーロッパの人々は、聖書や神話のテーマが実際の場所と区別されていない地図を使用していた。しばしば地図中にえがかれた神話上の図像は、地図上で未知の部分をあらわしていた。だが、印刷機の進歩によって、正確で実用的な地図がつくられるようになるとともに、航海や探検によって、未知の世界がしだいに減少してゆき、しだいに神話上のテーマをえがいた図像は地図から姿をけしていった。 地図作成と探検の相互作用はアメリカ大陸の地図の発展をみるとよくわかる。15世紀末から17世紀に、アメリカ大陸を探検したスペインの冒険家たちによってつくられた地図は、短い期間にかなり正確なものになった。 コロンブスが初期にえがいたカリブ海の島々や、スペインの征服者コルテスがえがいたカリフォルニア湾沿岸の地図は、簡単な線画にすぎなかった。しかし、それでもスペインがアメリカ大陸に植民地帝国をきずくのにはじゅうぶんだった。アメリカ大陸のスペイン帝国領が急激に拡大した16世紀後半から17世紀にかけて、同大陸の地図は初期のものとは比較にならないほど精度がまし、洗練されていった。 そして、地図の普及により探検しやすくなった結果、探検家がふえ、それがまた刺激となって、さらに広域にわたる正確な地図がつくられるようになった。18世紀末には、地図のおかげで人間は世界のすみずみまで知ることができるようになり、探検はもっぱら未知の地域の「地図づくり」をするためとみなされるようになってゆく。
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