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人権とは、個人が無条件にもつことができる社会生活上の利益や権利である。日本国憲法について論じるときには、人権と同じ意味で「基本的人権」とよぶことが多い。 なお、基本的人権という用語は、とくに人権一般の重要性を強調する意図や、人権のうちでも格別に重要な人権という考えでもちいられる場合もある。また、人権は「基本権」といわれる場合もあり、この場合の基本権は、通常、人権のなかでも憲法典(→ 憲法)によって保障されている人権をさしてもちいられる。しかし、これらに厳密な区別はなく、混用されることが多いため、区別の意味はあまりない。
人権は、第1に、人間に本来的にそなわったものであるという「固有性」、第2に、他者によって侵害されてはならないという「不可侵性」、第3に、個人の意思によったとしても他者にゆずったりみずから放棄することができないという「不可譲性」、第4に、あまねくすべての人に保障されるという「普遍性」、第5に、現在の人のみならず将来の人にも保障されるべきであるという「永久性」をもっているとされる。
人間社会は権力と秩序を有しまた必要とする。しかし、権力が肥大化し濫用(らんよう)されるとき、個人は人間として処遇ないし尊重されない事態におちいる。この権力の濫用や逸脱(いつだつ)に対して、個人が人間としての尊厳をたもつためにおこなう利益の主張が、人権の主張である。人権の主張が社会的にみとめられるようになるとき、法的保障をともなった人権が成立する。
人権は、ひとつには、人類史とくにイギリス史の中で経験的に確認されてきた。1215年のマグナ・カルタ、1628年の権利請願、79年の人身保護法、89年の権利章典などによって、悲惨な社会状況を背景に主張し保障されてきた、国王(権力)に対するイギリス国民の諸権利である。 ほかのひとつは、ホッブズ、デカルトなどの合理論、ジョン・ロックなどの自然法思想、それにつづくモンテスキュー、ボルテール、ルソー、カントなど人間性ないし人間の権利を説いた近代啓蒙主義哲学(→ 啓蒙思想)の影響があげられる。 とくに、ロックの自然法思想は重要である。ロックは、市民社会成立以前の自然状態において、個人は人間として不可欠の自然権(生命、自由、財産)を有していること、市民社会を形成するための社会契約にあたり、諸個人は国家(政府)に対し、自然権を確保するための権利のみを譲渡したこと、国家(政府)がこの信託に違反して人民の自然権を侵害したときは、人民は抵抗権をもつことを説いた(→ 社会契約説)。
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