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地上を氷河が広くおおっていた時代(氷河時代あるいは氷期)に氷河作用(氷食作用:→ 浸食)によってつくられた地形。氷食地形ともいう。氷河が谷の壁面と底面をけずるとU字谷、谷の源流部をけずるとお椀(わん)を半分に切ったような形のカール(圏谷)ができる。氷河の末端部には氷河がけずりとってはこんできた岩片がたまる(堆石堤またはモレーン)。氷河ののこした地形や堆石、谷の側面の岩につけた氷河のひっかき傷(擦痕:さっこん)から過去の氷河の分布や流動方向を知ることができる。
氷河によってひきおこされる地形作用は3つある。まず、寒冷気候によって一種の風化がおきる。第2に、氷河によって大規模な浸食がおこり、ひじょうに特徴のある自然環境がつくられる。第3に、氷河に隣接した地域では徐々に堆積物が増加し、その過程で独特の地形(氷河地形)が形成されることになる。
気候条件によって、岩石が普通よりはやく風化することがある。気温が常に氷点(0°C)をはさんで変動している地域では、凍結と溶解によって風化作用が促進される。岩石の表面の亀裂や小さな穴にしみこんだ水は、気温が氷点下になると凍結する。そして水は氷になると膨張し、割れ目に大きな圧力をかける。気温がふたたび上昇すると、氷はとけて水になる。こうして凍結と溶解を何度もくりかえすうちに岩石はもろくなり、やがてくだけてしまう。岩石の破片は氷河に落下すると、かなり遠くまではこばれて堆積することがある。たとえば、スカンディナビアの岩石がイングランド南部、ベルギー、フランス、オランダなどでみつかっている。このように、数百キロメートルもの距離を移動した石のことを迷子石という。
山岳氷河は気温の低い山地、とりわけ太陽があたりにくく、ほとんど雪解けしない東側や北側の斜面でつくられる。全般的に気温がさがると、山につもった雪は季節がかわってもとけずにのこっている。雪は年々蓄積されて幾重もの層になり、その重みにくわえて凍結と溶解の繰り返しにより、やがて氷となる。この氷が時とともに厚みをまし、巨大な塊となってついに地表をすべって移動しはじめる。摩擦熱などによって氷河の底面がとけると、そこにできた水が氷河の流動をさらに助長する。氷河は高山の台地から谷をすべりおり、最終的には低地の平原に到達する。高山の台地に大量の雪がつもって生まれた氷河は、流動することで谷を浸食し、岩屑(がんせつ)を運搬して低地の平原に堆積させ、やがて消滅する。 こうした氷河の移動速度は、主として気温に左右される。現在グリーンランド島北部にみられる寒帯の氷河は地表にはりつき、うごくとしてもごくわずかである。年間をとおして気温が0°C以上になる日数が比較的多い地域にある山岳氷河は、雪解け水が大量に出るため、1年で30~70mも移動する。まれに、同じ場所を数日かけて何度も移動する氷河もあるが、そのメカニズムはいまだ解明されていない。
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