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    原子力発電 (げんしりょくはつでん)とは、 原子核反応 時に出る エネルギー を利用した 発電 。ここでは地上の核分裂を利用した主に商業用の原子力発電について説明する。 原子力発電の 施設 に関しては 原子力発電所 を参照

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原子力発電

原子力発電 げんしりょくはつでん Nuclear Power Generation
百科事典項目
項目構成
I

プロローグ

核エネルギー(原子力)による発電。原子の中心にある原子核を分裂させ、そのときに発生する熱で湯をわかし水蒸気をつくってタービンを回転させて発電機をうごかす、というのが原子力発電の仕組みである。

核燃料(濃縮ウラン)として使用されるウランには「もえるウラン(核分裂しやすいウラン)」と「もえないウラン(核分裂しにくいウラン)」があり、もえるウランである235U(ウラン235)に中性子をぶつけると、核分裂をして熱を出す。ただし、「もえる」といっているが、一般に物が火を出してもえるのとはちがって、核分裂をして熱を出すことを「もえる」といっているのである。核分裂をしたウランは核分裂生成物(いわゆる「死の灰」)にかわる。死の灰も火を出してもえて灰になるのとはちがって、核分裂したウランがそれぞれ別の元素になったものである。放射性崩壊放射性同位体

核分裂をおこす中性子は、自然界では宇宙線の中性子として生まれるが、原子炉では中性子源という、中性子を出す物質を炉心にいれて発生させる。その中性子がぶつかって235Uが核分裂をすると、原子核から高速中性子が2、3個とびだす。この高速中性子が別の235Uにあたると、また、核分裂をおこす。とびだしてくる中性子がみな、次々とネズミ算式に核分裂の連鎖反応をおこしていくのが、原子爆弾(核兵器)である。

原子炉の中では、核分裂でとびだした高速中性子は減速材をつかって低速な熱中性子にかえられ、1つだけが次の核分裂につかわれるようにコントロールされている。これが、原子炉での「臨界」とよばれる状態である。臨界をこえる状態がつづくと暴走して爆発をおこし、臨界未満だと原子の火はきえてしまう。→核エネルギーの「核分裂による核エネルギー」

II

原子力発電の現状

世界の原子力発電所の数は、2008年1月1日の時点で、運転中が435基(約3億9224万kW)、建設中が43基(約3877万kW)、計画中が53基(約4960万kW)とされる(日本原子力産業協会の発表資料による)。国別の設備容量ではアメリカ合衆国が最大で、08年1月1日では約1億606万kW、104基となっており、フランス(約6602万kW、59基)、日本(約4958万kW、55基)、ロシア連邦(約2319万kW、27基)、ドイツ(約2137万kW、17基)、韓国(約1772万kW、20基)の順につづく。

日本の原子炉はすべて商業用の原子力発電所である。日本の総発電量(自家発電をのぞく)に占める原子力発電量は近年、3割ほどとなっている。

とはいえ、この数字は、じつは原子力発電の別の問題点をしめしているともいえる。原子力発電所は小回りがきかず、フル出力でうごかすか運転をとめるかのどちらかしかできない。電気の需要は刻一刻と変化するが、それにあわせて出力を上げたり下げたりできないという大きな弱点がある。原子力発電が多くの電力を供給しているのは、ほかの発電設備に能力がないからではなく、原子力発電を優先的にフル出力でうごかすしかないためである。

III

老朽化がすすむ日本の原子力発電所

原子力発電には巨大な放射能災害をもたらす潜在的な危険性があり、また、核兵器の製造に道を開く可能性を否定できない。さらに、多種多様でやっかいな放射性廃棄物を後の世代への「負の遺産」としてのこすことになる。さらに日常的な労働者の被曝(ひばく:放射線障害)や、環境の汚染などの問題もある。とくに懸念されているのが、原子力発電所の老朽化である。

2009年(平成21年)1月1日現在、日本国内で運転中の原子力発電所55基のうち約4割にあたる20基は1970年代に営業運転を開始した。そのうち東京電力福島第一原子力発電所1号機(1971年3月)、日本原子力発電敦賀原子力発電所1号機(1970年3月)、関西電力美浜原子力発電所1号機(1970年11月)、同2号機(1972年7月)の4基は、すでに30年をこえて運転されている。70年代に原子力発電が導入された当初、設計上の耐用年数は30年程度とされていた。

しかし、1996年に当時の通産省(現、経済産業省)は、原子力安全委員会への報告書の中で「原子力発電所の運転年数の増加にともなって、トラブルが多くなるという傾向はみられず、高経年化が進展しても、設備の信頼性が低下しているとは考えられない」と結論づけた(国や電力業界では「老朽化」ではなく、「高経年化」と表現する)。そして、部品交換などを適切におこなえば、設計寿命の一応の目安である30年をこえて60年間の運転が可能であるという見解を出している。

このことにより、東京電力など3社は福島第一原子力発電所1号機など4基の原子力発電所の運転期間を10年延長の40年とした。1970年(昭和45年)の運転開始で、日本でもっとも古い敦賀原子力発電所1号機は2009年(平成21年)3月現在運転中だが、数年のうちに廃炉されることになっており、1976年(昭和51年)、78年に運転開始した中部電力浜岡原子力発電所1、2号機は耐震性の問題などで2009年(平成21年)1月30日に運転を終了、廃炉がきまっている。なお、日本初の商用原子力発電所として知られた日本原子力発電東海発電所(1966年運転開始)は1998年、老朽化によるコスト高を理由に32年目で運転を停止し、現在もなお解体作業がすすめられている。

IV

原子力発電と電力「自由化」

原子力発電所は、電力の「自由化」がすすんでいけば、電力会社にとってありがたくない「お荷物」になるかもしれない。2000年3月から「電力の部分自由化(大口需要家への電力小売りの自由化)」がはじまり、大規模工場や自治体への施設、デパート、ホテルなどでは、これまでの電力会社にかえて、ほかの地域の電力会社や新規の電気事業参入者(IPP=独立電気事業者)、自家発電から電気を買うことができるようになった。

こうしたコスト競争の導入は、長い目でみると原子力発電所の新設を不可能にする。なぜならば、原子力発電所は建設コストがきわめて高く、リードタイム(計画から完成までの期間)が長いからである。さらに全面的な競争にさらされたら、既設の原子力発電所すら運転をつづけることが困難となる。放射性廃棄物などの後始末のコスト、それも原子力発電所が廃止(廃炉)され、売電収入がなくなってからも必要となる膨大な費用を考えれば、原子力発電の競争力は低いといわざるをえない。

コストダウンをせまられた電力会社は、定期検査の簡素化や原子力発電所の寿命延長という強引な手段で原子力発電の経済性を維持しようとしており、大事故につながらないか危惧(きぐ)されている。事実、2002年8月には東京電力の長年にわたる原子炉のトラブル隠蔽(いんぺい)の事実が明らかとなり、大きな社会問題となった。06年には原発耐震設計審査指針がみなおされたが、07年7月におきた中越沖地震の直撃をうけた柏崎・刈羽原発では関連施設の火災や破損が多発し、運転休止となった。この地震被害によって、他の原子力発電所での耐震性の問題が大きくクローズアップされた。

しかし、原子力発電の経済性よりもっと直接に電力会社をおびやかしているのは、原子力発電の硬直性である。低需要時の下支えとなってきた大口需要家がほかの電力会社にのりかえてしまったら、夜間の需要は大きくおちこむことになる。原子力発電所をつくってもうごかせない事態すら、おこりうるのである。そのため、部分自由化に際して、低需要時には火力発電を抑制する「原発優先ルール」がさだめられた。

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