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湿地とは、水深の浅い水辺環境を広く意味する言葉であり、湿地(ウェットランド)を保護するための国際環境条約であるラムサール条約などでは、自然のもの以外にも水田や養殖池など人工的なものもふくめた35種類もの登録地が指定されている。湿地は陸地と水域という、ことなった環境の両方の特徴をあわせもつが、ここでは、湿地の代表的なものとして、「湿原」について解説する。その他のものについてはウェットランドの項目を参照すること。 湿原は、南極大陸をのぞくすべての大陸でみることができ、熱帯から凍土帯(→ 永久凍土層)までのあらゆる気候風土に存在する。面積にして約8億9000万ha、地球上の陸地総面積のおよそ6%をしめている。また、湿原には淡水のものと海水のものがある。淡水湿原は、湖沼や流れのゆるい川の周辺部で、水の浅い区域に発達し、湖沼が堆積物にみたされるとできる。塩湿地は、海岸の干潟に形成されるものと、内陸部に形成されるものがある。内陸の塩湿地は、塩水湖の縁にみられる。湿地の性質、すなわち植物の構成や種の豊富さ、バイオマスは周囲の生態系との関係に大きく影響される。周囲の生態系は、栄養物質の供給、水の動き、堆積物のタイプや堆積量を左右するからである。
湿原は一般に、開水域をもつ草本優占の湿原(marsh)と樹木優先で水をたたえた湿原(swamp)、植物遺体が堆積し泥炭となった泥炭地あるいは泥炭湿原(mire)の3タイプに分類される。各タイプは、さらに細かく分類されている。湿原の種類は水源によって左右されるため、同じ湿原でも種類が別になることもある。分類の決め手となるのは、植生、土壌、水源、水質などである。
周期的あるいは連続的な河川の氾濫(はんらん)によって形成された湿原で、草本性の抽水(ちゅうすい)植物が生育しているのが特徴となる。抽水植物とは、浅瀬や水分の多い土壌に適応した水生植物である。ひとつの湿原の中でも、場所によって別の種類の抽水植物が生育することも多い。また地面の高さと水位の関係によって、植物の生育する場所がきまる。水質は、水源によって変化し、海水(水源は干満のある海)、ミネラルをふくんだ淡水(水源は地下水、小川、地中に吸収されず地面にあふれた水)、ミネラルをほとんどふくまない淡水(水源はほとんどが降水)など、さまざまである。土壌はミネラルをふくむ場合が多い。波をかぶるか、流れのある場所なら、きめのあらい、砂土のような土壌も生じる。水があまり豊富でない場所では、沈泥や粘土が枯死した植物とともに堆積して有機質土壌を形成する。 草木優占の湿原の例としては、フロリダ州南部の大湿原帯であるエバーグレーズ国立公園、北アメリカ大陸中央部の大草原(プレーリー)に点在する湿地帯、アメリカとカナダ国境に接する五大湖の沿岸部などがある。また世界の高緯度地方から中緯度地方にかけての沿岸地域では塩湿地がみられる。
高木や低木のめだつ湿原で、さまざまな種類の氾濫地に発生する。一年じゅう水がたまっている湿原もあれば、一年のうちわずかな期間だけ水があふれだす湿原もある。水質はきわめて多様であり、水質は、水源によって左右される。土壌の栄養分、ミネラルや有機物の含量なども個々の湿原でちがい、多様である。 このタイプの湿原は、川沿いの氾濫原や、水深が浅くて波のない湖沼や、亜熱帯から熱帯にかけての海岸部などに生じることが多い。例としては、ミシシッピ川下流の広葉樹林や、ジョージア州とフロリダ州にまたがるオキフィノキー湿地がある。フロリダ湾、熱帯アフリカ、南アメリカ、東南アジアに存在するマングローブもこの湿原のタイプにはいる。
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