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悲劇の語源はギリシャ語のtragōidiaで、tragos(ヤギ)とoide(歌)を合成した言葉である。古代ギリシャのアッティカで祭礼の歌舞から演劇が生まれ、前5世紀のアテネではディオニュソスの大祭に演劇の競演が行事となった。ヤギの歌が悲劇の意味になったのは、合唱団がヤギ(牧羊神)の衣装をまとって歌ったことに由来するという説が有力だが、コンクールの賞品がヤギだったからという異説もある。
ギリシャ悲劇で合唱団(コロス)の部分が大きな役割をはたしているのは、合唱指揮者が合唱団から独立する形で俳優が成立し、対話形式をとるにおよんで劇が発生したことをしめしている。
アイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデスの三大悲劇詩人の登場するギリシャ悲劇の黄金時代(前5世紀)には、3部作の悲劇に喜劇的なサテュロス劇1本をくわえたものがワンセットで審査の対象になった。悲劇は神話伝説を題材とし、神々や過去の崇高な英雄的人物のみを主人公とし、結末は破局におわる(宥和的な幕切れのものも若干ある)。 少しおくれて上演されるようになったアリストファネスの喜劇は、登場人物は同時代の庶民であり、滑稽(こっけい)な時事風刺を題材とする点は悲劇とことなるが、やはり合唱団(コロス)が劇の重要なパートを占めている。
ギリシャ劇がすでに衰退期にむかったころに書かれたアリストテレスの「詩学」(前330頃)によって、悲劇は文学のジャンルとして明確に定義された。それによると悲劇は、それにふさわしい文体、つまり非日常的な韻文で書かれ、壮大深刻で完結した行動(主人公の行動すなわち事件)を模倣(再現)するものである。悲劇の効果は、観客が恐怖と同情(共苦:主人公の苦悩をともに体験すること)を感じることによって最後にはこれらの激情から解放されることであり、この働きは浄化作用(カタルシス)とよばれた。
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