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妄想や幻覚を主訴とする精神疾患。もとは精神分裂病とよばれていたが、2002年(平成14)7月に日本精神神経学会が病名を変更して以降、統合失調症という病名が診療や福祉の現場などで広くもちいられるようになっている。統合失調症がほかの精神病から分類されて独立した病気として認識されるようになったのは、20世紀になってからである。
考えや気持ちがまとまりにくくなっている統合失調の状態は、物事に対する考え方や理解、感情、動作、対人関係などにあらわれる。論理的な思考ができなくなったり、妄想にかられたり、感情がとぼしくなったり、おかしな行動をしたりするようになる。幻覚があらわれ、とくに幻聴といって、自分の考えが外からの声となってきこえたり、あるいは命令されたり悪口をいわれたように思いこみ、異常な行動にはしることがある。動作の面では、わけのわからないことを突然大声でさけぶなどの極端な興奮状態をしめしたり、逆にぼんやりした状態になったりということをくりかえす。また、統合失調症の患者は自分の中にとじこもりがちで、周りのことに無関心になり、他人とうまくつきあっていけない。 統合失調症は、精神病の中でも発病する人が多く、しかも、もっとも重い病気である。ほとんどが中年までに発病する。ふつう思春期から青年期のころにはじめて症状がでて、その後さまざまな症状があらわれる。はっきりした症状がでるわけではないのではじめはわからないが、しだいに仕事がうまくできなくなったり、対人関係がうまくいかなくなったり、自分の身の周りのことでさえいい加減にするようになったりする。 統合失調症の苦しみは、症状をならべただけではあらわすことができない。統合失調症の人がおかしなことをいったり、おかしな行動をすると、周りの人はわらうだろう。しかし統合失調症の人は、たのしくてそんなことをいったりしたりしているわけではない。自分自身の考えをコントロールすることができず、現実からかけはなれ、幻の声によって行動を命令される。統合失調症患者はこれにおびえ、孤立してしまう。
原因は1つにしぼることはできない。統合失調症でなくても、個人の人格には、その人の生活史、心理状態、教養などが相互作用をおよぼしているはずである。したがって統合失調症の場合でも、そういうものが影響をあたえていることは確かだろう。また、遺伝的な要素も考えられる。全体の発病率は1%程度だが、両親のどちらかが統合失調症の場合の発病率は10%である。ただ、それが遺伝子のせいなのか、統合失調症の親がいるという環境のせいなのかは、いまだに問題となっている。 最近になって、遺伝子の欠陥による統合失調症の例もあることがわかってきた。たとえば、まったく同じ遺伝子をうけついでいる、一卵性双生児のうちの1人が統合失調症だと、もう1人も統合失調症になる確率は35~58%である。しかし、遺伝だとしても、生物学的な問題なのか、神経学的な問題なのか、酵素の問題なのかについてはまだわかっていない。現在のところその要素は、患者個人個人でさまざまだと考えられている。 環境という面では、家族との関係がうまくいっていないことが大きな要素だと考えられているが、確かな原因かどうかははっきりしない。 また、脳の病気によるものだという説もある。たとえば、脳で神経と神経の間にいろいろな連絡をするドーパミンという物質が、統合失調症患者では異常に多いという仮説がある。また脳の画像診断によって、脳の構造が異常をしめす患者がいることもわかっている。
いちばん効果的な治療は、向精神薬をつかうことである。1950年代半ばからつかわれるようになった向精神薬は、患者のおびえや、つらい症状をおさえるだけではなく、再発をふせぐこともできる。しかし、ねむくなったり、口がかわいたりという軽い副作用がでるという欠点があるので、長期間つかうことはさけたい。長くつかうと、口や舌に異常な動きがみられる、遅発性ジスキネジアという症状があらわれることがある。また心理カウンセリングのほか、レクリエーション療法、作業療法、芸術療法などもおこなわれている。→ 精神療法
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