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  • 油脂 - Wikipedia

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油脂

油脂 ゆし Fat and Fatty Oil
百科事典項目
項目構成
I

プロローグ

天然にひろく存在する有機化合物のグループ。常温で固体のものを脂肪とよび、液体のものを脂肪油とよぶ。化学的には、3分子の脂肪酸と1分子のグリセリンとが結合した化合物であり、酸(脂肪酸)とアルコールの化合物であるエステルに分類される。このため、加水分解すると、下式のようになり脂肪酸とグリセリンに分解される。


純粋な油脂は無味、無色、無臭の物質で、中性をしめす。水には不溶だが、アルコールにはわずかに溶解し、エーテルなどの石油系の有機溶媒には容易にとける。脂肪酸を大きくわけると、分子の中に二重結合三重結合がない飽和脂肪酸と、それらがある不飽和脂肪酸とがある。重さは水よりも軽い。

脂肪油として分類される液体は、一般には油とよばれている。しかし、なかにはマッコウクジラ油のように、化学的にはろう(蝋)に分類されるものもある。ろうも脂肪酸とアルコールのエステルだが、油脂が3個のヒドロキシル基(水酸基)–OHをそなえた3価アルコール、グリセリンによるエステルであるのに対し、ろうは1個のヒドロキシル基のみをもつ1価アルコールによるエステルである。ろうの化学的性質は脂肪に近く、常温では固体となる。そのほか石油精油も油とよばれるが、石油は炭化水素が主成分で、脂肪油とはことなる。また植物を蒸留してえられる精油は、各種の有機化合物からなる混合物なので、脂肪油とは区別される。

II

油脂の性質と用途

動植物の組織に存在する油脂の成分でもっとも多いのは、脂肪酸の炭素数が17個のステアリン(C17H35COO)3C3H5(ステアリン酸CH3(CH2)16COOHのエステル)とパルミチン(C15H31COO)3C3H5(パルミチン酸CH3(CH2)14COOHのエステル)という飽和脂肪酸が大部分で、不飽和酸のオレイン(C17H33COO)3C3H5(オレイン酸CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOHのエステル)などがこれにつぎ、これらの成分は、ほとんどすべての油脂に共通してふくまれる。それ以外の成分は、油脂の種類によってさまざまである。炭素数12以下の脂肪酸をふくむエステルは、バター、ヤシ油にふくまれ、反対にナタネ油、落花生油には、炭素数20以上の脂肪酸をふくむエステルがふくまれる。脂肪酸の分子量が大きくなるほど、油脂の融点は高くなる。

1

油脂の性質

脂肪酸にふくまれる炭素の結合状態によっても、油脂の性質に違いがあらわれる。脂肪酸の炭素がすべて単結合でむすびついた飽和脂肪酸は、化学的に安定で融点が高い。このため炭素数11以上の飽和脂肪酸をふくむ油脂は、常温で固体の脂肪となる。これに対して、一部の炭素が二重結合でむすびついた不飽和脂肪酸は融点が低くなり、不飽和脂肪酸をふくむ油脂は、常温で液体の脂肪油となる。また、不飽和脂肪酸をふくむ油脂は化学的に不安定で、空気中では酸化によって変質しやすい。ただし不飽和脂肪酸の二重結合に水素を反応させて単結合に変化させれば、融点が高く化学的に安定な、飽和脂肪酸をふくむ油脂にかえることが可能である。

2

採取法

油脂の採取法には、融出法、圧搾法、抽出法の3種類がある。融出法は煮沸または蒸気による熱を利用する方法で、動物の脂肪組織から油脂をとりだすのに適している。細胞中の油脂は熱でとかされ、脂肪組織の外にとけだして水の表面にうかぶので、簡単に分離できる。牛油、魚油、鯨油はこの方法で採取される。

圧搾法は圧搾機で圧力をかけて油脂をとりだす方法で、油脂を多くふくむ植物の種子から油脂をとりだすのに適している。ゴマ油などがこの方法で製造される。種子にふくまれる油脂の量が少ない場合には、抽出法が利用される。

抽出法では種子を溶媒にひたし、ふくまれる油脂を溶媒中にとかしてとりだす。溶媒には石油ベンジン、ヘキサンなどが使用される。大豆油などがこの方法で製造される。

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