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項目構成
油脂は食品のかたちで、もっとも大量に消費される。バターやラード(豚脂)など飽和性の脂肪は天然の状態のままで利用されるが、魚油のような不飽和性の脂肪油は酸化によって変質しやすいので、水素添加によって飽和脂肪にかえてから、ショートニングオイル、マーガリンなどに利用することもある。牛脂、豚脂、羊脂などの動物性油脂は、食品のほか、ロウソクの原料としても利用される。 不飽和性の天然油脂は空気によって酸化され、乾燥した半透明の被膜をつくる。この性質は塗料に適しており、亜麻仁油(→ アマ)などの乾性油から油性ペイント(→ ペイント)、ワニスなどがつくられる。脂肪酸とグリセリンのエステルである脂肪は、アルカリ水溶液とともに加熱すると、加水分解してグリセリンと脂肪酸アルカリ(石鹸)にかわる。そのため脂肪は石鹸の重要な原料でもある。
生物の細胞内には、上記のような単純な脂肪のほか、リン脂質、糖脂質など、脂肪に類似した物質がふくまれる。リン脂質は脂肪酸のほかにリン酸や窒素をふくみ、糖脂質には糖質がふくまれる。また動植物の油脂中にはステロールがふくまれるが、これは複雑な環状構造(シクロペンタノヒドロフェナントレン環C17H28)をもつアルコールで、コレステロールがその代表である。
脂肪の栄養としての効率は高い。食品にふくまれる通常の脂肪では、酸化によって放出されるエネルギーは1gあたり約9000カロリー(cal)になる。これに対して炭水化物またはタンパク質の酸化では、1gあたり脂肪の半分程度の約4000calが放出されるにすぎない。また食物の大きな部分を占めるデンプンは、大量の水をくわえて加熱しないと消化しにくいが、脂肪は単独でも消化しやすい。 デンプンの消化で生じたブドウ糖は水溶性で、血液中の濃度が上昇すると浸透圧が高まり、細胞内から水をうばってしまう。このためブドウ糖の血液移動の際にも、浸透圧を一定にたもつために大量の水を必要とする。しかし水にとけない脂肪は浸透圧を上昇させないので、必要な水は少量ですむ。 これらの理由から、脂肪は効率よく細胞にエネルギーを供給することができる。消化された脂肪は微粒子となって血液ではこばれるので、脂肪の多い食物をとったあとは、血漿が乳状ににごることになる。 体内の脂肪は皮下脂肪などの脂肪組織にとりこまれる。脂肪組織の細胞は球形で、大部分が脂肪の塊で占められているため、脂肪細胞とよばれる。
脂肪の多い食品をとりすぎつづけると、脂肪にふくまれるコレステロールの血中濃度が高くなり、血管内にコレステロールが沈着するようになる。これがひどくなると、動脈の弾力性がうしなわれる動脈硬化の症状がひきおこされる。 動脈硬化は脳内出血や心臓疾患などの原因となり、とくに心臓をとりかこむ冠状動脈に多くのコレステロールが沈着すると、心臓への栄養供給がはばまれ、心筋梗塞をおこしやすくなる。→ 動脈:脳:心臓:栄養 コレステロールは、体内のさまざまな物質代謝に関係しているため、コレステロールが血管内に沈着する過程はじゅうぶんに解明されていない。ただしコレステロールは飽和性の脂肪を体内にとりいれると増加し、不飽和性の脂肪をとりいれることで減少することが知られている。飽和性の脂肪の摂取量が少なくなると、心臓発作をおこす確率が低くなることも明らかにされている。 健康面からは、食品に占める脂肪の割合をへらし、とくにバターなどコレステロールを多くふくむ食品の摂取を控え目にすることがのぞましい。また、余分なコレステロールを体外に排出するために、飽和性の脂肪のかわりに不飽和性の脂肪を利用することも、研究者によって提唱されている。
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