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かつてイルカは商業捕鯨の対象で、とくに頭部から少量の良質の油がとられ、時計の潤滑油に利用された。現在では別の供給源から安価な油がえられるので、油のために捕獲されることはなくなった。しかし、多くのイルカがあやまってマグロ漁の網にかかっておぼれてしまうようになった。このため、1959~72年に、480万頭が死んだと推定される。 動物保護団体やアメリカの消費者グループからの圧力をうけて、世界のマグロ缶詰業者がイルカを保護しない漁船団からの荷揚げをうけつけなくなった。水族館や「イルカとおよごう」といったプログラムでのイルカの扱いも懸念されている。アメリカでは海生哺乳類保護法が72年に制定され、88年と92年には改正され、イルカや近縁の水生動物の利用を禁じている。
食性は肉食で、おもに魚とイカを1日に体重の3分の1ほども食べる。泳ぎがすばやいので獲物にらくにおいつくことができる。200~250本のするどい歯をもつ顎(あご)で獲物をとらえる。魚群を群れになっておいかけるが、その群れの大きさはさまざまである。カマイルカのように、数万頭もの集団をつくる種もある。ハンドウイルカなど、大きな群れをつくらない種の群れは、しばしば数頭のみで構成される。
イルカもクジラと同じく、頭頂部の噴気孔で呼吸する。移動中、およそ2分ごとに水面にでて、短く勢いよく息をはいてから、今度は長めに空気をすった後、ふたたび水中にもぐる。他の海生哺乳類と同じく、尾鰭を上下にふって、前進する。胸鰭は安定させるためにつかう。体型はみごとな流線形で、時速30kmのスピードをたもち、瞬間では時速40km以上だすことができる。急激な水圧の変化は多くの動物の体に異常をひきおこすが、イルカの肺はそうした変化に適応して、水深300m以上までもぐることができる。
ハンドウイルカはもっとも研究のすすんだ種で繁殖活動に関してもある程度解明されている。メスで5~12歳、オスで9~13歳で性的に成熟する。交尾は春におこなわれ、11~12カ月の妊娠期間をへて、1頭の子をうむ。子は誕生して数分後にはおよぎ、呼吸もする。生後18カ月までには乳ばなれをする。子は母親がおよぐことで生じる水の流れをそばにいて利用することにより、母親についていくことができる。
イルカはチチッというクリック音やピーというホイッスル音をたえず発している。クリック音は、噴気孔のすぐ下にある器官から発する、およそ毎秒300回の短い不連続音である。これらの音は物体の反響定位につかわれる。額の上にはメロンというろう質の部分があり、これが音響レンズの役目をはたすことで音が前方へ送られる。物体からの反響は下顎(したあご)の後ろ部分でうけとり、下顎の脂肪組織をとおって中耳につたえられる。コウモリのものと似た、この反響定位によって、仲間や大きな物体の間をおよぎ、魚やイカや、小エビさえも感知することができる。 一方ホイッスル音は、喉頭の奥からでる一定の調子の鳴き声である。これらは仲間同士の間で警告や、性的興奮や、おそらくさまざまな感情をつたえるのにもつかわれると考えられている。
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