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青々としげる植物と生物多様性の豊かさを特徴とする森林で、熱帯多雨林ともいう。世界の熱帯雨林の大半は赤道から南北に緯度10度以内にある。最大の熱帯雨林は南アメリカ大陸のアマゾン川流域、大きな島々をふくむ東南アジアから南アジア、アフリカのコンゴ盆地にある。熱帯雨林は陸地の6%ほどであるが、地球の多様な生物の74~86%(IUCN推定)が生息している。くわえて、まだ学名が記載されていない何万種もの昆虫や多数の植物の種も生息すると思われる。
熱帯雨林に生息する植物と動物の種数は、熱帯雨林以外の世界のあらゆる生態系に生息する種のすべてより多い。熱帯雨林にみられる植物の種の、ほぼ70%は木である。熱帯雨林は垂直に層をなしており、3~5層の植物で構成されている(このことは、この項目にそえた「熱帯雨林の垂直方向の植物相」で図示した)。 すなわち、巨大な高木を中心に上層の林冠部と、1~3層の中間の樹幹部、そして最下層の林床部である。林冠とは、樹木の枝や葉がしげっている部分のことである。上層の林冠は地上30~50mに達する。直径が20cm以上にもなる木性の蔓植物は、至る所にみられ、これらの先端は上層の林冠に達することもある。 ランやパイナップル科の植物などの着生植物の豊かな群落がみられることがよくある。着生植物は日当たりのよい、木の幹や枝に固着して生育する。シダも着生植物群落のメンバーになることがある。着生植物は栄養のほとんどを、雨水にとけこんだミネラルや、動物の糞(ふん)、そのほか木に付着した物質からとる。 熱帯雨林では林冠に枝や葉がしげり、日光が林床までとどくことはほとんどない。常緑樹のため、林床の落葉層はわずかで、養分は少なく落葉層が分解されてできる栄養分はすぐに樹木によってふたたび吸収される。熱帯雨林では、栄養分のほとんどが樹木にたくわえられることも大きな特徴である。
熱帯雨林は、およそ南回帰線と北回帰線にはさまれた地域で、もっとも寒い日でも平均気温が18°C以上の地域(熱帯)に分布する森林のことである。降雨量や雨季といった気候や海抜高度、緯度、あるいは単独で存在するか、他の森林とともに存在するかによって分類される。地域的には、赤道の南北10度までの赤道地帯にみられる森林をさすが、熱帯より外まで広がっている場合もあって、そのような森林は亜熱帯雨林という。雨季と乾季の周期がはっきりしている地域では、熱帯季節林といわれる。熱帯林は熱帯の山地にできることもあり、そのような森林は雲霧林という。 一般的によくつかわれるジャングルという言葉は、未開の、自然のままの場所を意味するヒンドゥスターニー語(→ インドの言語)のjangalからきているが、英語のジャングルは木々や下生え、蔓植物が密生していて、とおりぬけることのできない熱帯林の植生を意味するようになった。熱帯雨林というとジャングルをイメージする人が多いが、実際の熱帯雨林では、樹木が密生し、林床まで日光がとどかないために、ほとんど下生えはなく、この意味で熱帯雨林はジャングルではない。
熱帯雨林は高温で湿度の高い熱帯地域にみられる常緑広葉樹群系(→ 常緑樹)である。熱帯雨林の分布に影響をあたえる全般的な要因は水分である。ただし、土壌など他の要因も局地的には重要な場合がある。年降水量は1500~4000mm、平均気温は25~35°Cである。年間を通じて一定した気温と湿度、そして極端な乾季がないことが、この多様で、こわれやすい生態系をつくりだしている。 上層の林冠と、そこからさらにつきでた高木は、連続的な層をなさない。巨大高木は高さ60mに達することもあり、これをささえるために、板状に広がった板根(ばんこん)をもっている。それより下層の木はしばしばもっと連続的な林冠となり、さらに幹や枝には蔓植物や着生植物が豊かにしげる。 このような植物の密生のために、日光はほとんど林床までとどかない。実際、最下層の林床にまで達するのは、最上層の林冠にふりそそぐ光のわずか1%だけである。したがって林床には、日陰に耐えられる種類をのぞいては、植物は生えない。
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