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長期的な持続可能性の点では、熱帯雨林は多少とも自然のままでのこされるほうが、牧草地などの単純な生息場所にかえられる場合よりもはるかに価値をもつ。このことは今、ようやく科学者たちにうけいれられつつある(→ 国連環境開発会議)。 熱帯雨林は、地球上のあらゆる植物群集のなかで、最大の連続的なバイオマスをつくりあげてきたし、しかも、これを土壌条件とはほとんど無関係に、栄養物質をリサイクルすることでなしとげた。だから、ただしく管理されれば、ほとんど無尽蔵の有用材を供給し、もともと、うすい表層の土壌をまもり、雨水の流出を調節し、地球規模での環境保護や気候を安定させることができる。 熱帯雨林には、地球上でもっとも多様な動植物が生息し、これらは新しい医薬品、食物そのほかの製品を供給できる可能性をもった巨大な遺伝子銀行、シードバンクであるともいえる。これまでに降雨林で発見された医薬物質には、避妊ピルの合成に重要なジオスゲニン、循環器障害の治療につかわれるレセルピン、心臓や肺の外科手術で麻酔薬にもちいられるクラーレ(→ マチン)などがある。それでいて、まだ、熱帯雨林の植物のほんの一部しか、化学的な価値が調査されていないのである。
熱帯雨林に影響をあたえる自然現象や人間の活動は数多くある。低気圧や落雷による火災、病気、地すべりなど、自然による影響は、人間による過剰な伐採や道路建設、採鉱、牧草地や農業のための大規模な開拓といった影響にくらべ、はるかに小さいといえる。昔から伝統的におこなわれた焼畑農法(→ 焼畑)は、ほんの小さな区域の森林が焼きはらわれただけである。焼畑耕作では、何年か後に土壌の栄養がなくなると、その土地は放棄されて、別の森林が開拓される。開拓される区域が小さいので、放棄された場所にはすぐに周囲の森林が進出して、回復した。
しかし現代の大規模な開拓は、森林が破壊され、収奪的な耕作によって土地は急速にやせおとろえ、荒廃地となってしまうため、もとの森林にわずかでも似た植生がもどるには、何百年もの年月がかかるだろう。それはもともと養分の90%近くが樹木などにたくわえられ、土壌の肥沃度(ひよくど)が低いためである。 1970年代以来、熱帯の森林破壊はますます急速にすすんでいる。オーストラリア、スマトラ島、マレーシア、メラネシアなどの地域では、木材のための伐採と農業のために、広大な森林がうしなわれつつある。世界の注目の焦点となったアマゾン川流域の開発は、アマゾン横断道路の建設、農牧地および入植地の開発など、ブラジル政府の大がかりな計画によって、広大な範囲にわたっておこなわれた。 全体として、どれほどの速度で熱帯の森林破壊がすすんでいるかは推定しにくいが、おそらく毎年10万km²もの熱帯雨林が破壊あるいは深刻な打撃をうけていると思われる。いくつかあっためずらしいタイプの熱帯雨林は、ほとんどすべて破壊されてしまった。たとえば、ブラジルの大西洋岸原生降雨林のうち、今日のこっているのは2%以下である。
生物多様性の損失や地球温暖化は、ますます大きな問題となりつつある。これらにも熱帯雨林の破壊が関与していると考えられる。しかし、いま明白になったことは、種の損失のほうがはるかに重要な問題であるということである。 熱帯雨林の生物多様性と生態については、あまりにもわずかしか知られていない。それゆえ、大規模な種の絶滅がどのような結果をまねくか、そして、それをふせぐにはどうするべきかを知る前に、人間の活動によって大量の種が絶滅してしまうかもしれないのである。しかも、いったん絶滅した種を人間が再現することはできないのである。 1970年代以来、数多くの国家的および国際的な組織が、とくに熱帯雨林の自然保護に科学的にとりくむために設立されてきた。現在では、大規模な森林開拓にかわる経済的な方法をみつけだすのに努力がはらわれている。
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