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広くは「国民の歌」という意味であるが、通常は、国家を象徴する機能をもつ楽曲をさす。歌詞をともなう声楽曲(歌曲)だけでなく、歌詞のない器楽曲だけの国歌もあるが、どちらも国家の聴覚的象徴となっている。また、非公式に民間で慣習的に存在するものもあれば、憲法、法律、行政立法などの法的根拠をもち、公式に国家によってさだめられたものもある。
本来、どのような集団でも、所属員が連帯意識をもち、みずからのアイデンティティをその集団にもとめようとする手段として、歌と踊りは欠かせないものだった。その意味で、実質的な(国)民の歌は古くまでさかのぼることができるが、国歌自体が「国家」の歌であることを前提とするものであるから、国歌の起源は、一般に近代国家の成立にもとめられる。 近代国家によって近代的な国際社会が形成されることになり、国歌は、国旗と同様に、大別して2つの重要な機能をもつことになる。第1は、国家間の関係における対外的な機能であり、第2は、国民に対する対内的な機能である。
第1の対外的な機能としては、まず、対等な国家関係における国際礼譲(れいじょう)での役割があげられる。たとえば、外国の元首や軍艦などの来訪に対して敬意を表するために、慣習的な儀礼として国歌が演奏され、あるいは斉唱される。さらに、国家を単位とするスポーツ交流や文化交流などの場面では、国家や公共団体がかかわる場合だけでなく民間だけの主催であっても、参加者およびその所属国に対する敬意をあらわし、あるいは、その栄誉をたたえるために演奏される場合がある。 このような場合には、臨席者、参加者、観覧者などの起立、脱帽などが儀礼的所作として一般に要請されている。ただ、現実的困難性から国歌は国旗ほど多用されていない。 また、支配服従関係においては、支配国が被支配国の国歌の演奏ないし斉唱を抑圧し禁止する場合がある。これは、消極的場面ではあるが、国歌の演奏・斉唱の禁止が、国家間の支配服従関係を象徴しているといえよう。
第2の対内的な機能は、積極的機能と強制的機能にわけてとらえられる。国民みずからの自発的な意思として国歌を演奏・斉唱することは、自己が国民であるというアイデンティティの確認であり、国民的結束を確認し、よろこびあうという積極的機能をもつ。たとえば、国家元首などが臨席する国内行事などでは、国民としての一体感をかもしだすためにうたわれる。 それに対して、政府と国民との間に対立・緊張関係がある場合、たとえば、専制国家や全体国家だけでなく、多民族国家、複数の国語をもつ多言語国家などでは、国歌が特定の価値観と連動しているか、または関連せざるをえない場合には、その演奏・斉唱は、一定の国民には服従を強いる性質をともなう強制的機能をもつことになる。そうした場合の自己決定的な国歌の演奏・斉唱の拒否は、権力者による弾圧にもつながる危険性をもっている。
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