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この美術の主題の中には聖餐(→ 聖体)の儀式を意味するものと、ユダの裏切りをキリストが予告するという2つの内容がふくまれている。これは過越の祭の晩にキリストが十二使徒(→ 使徒)と晩餐をともにしたときのことであり、4福音書(→ 福音書)がそれぞれニュアンスを異にしながらもこの出来事をしるしている。
キリストは、この中に私を裏切る者がいると告げた。弟子たちの間に動揺がはしる。しかし、ビザンティン美術のモザイクや福音書写本などにみられる初期の表現では、弟子たちの心の動きを感じとることはできない。また十二使徒の姿もほぼ均一にえがかれていて、区別することはむずかしい。中世初期にはこの主題は聖餐の儀式に重点がおかれていたのである。キリストはパンを祝福して裂き、ブドウ酒を弟子たちにあたえた。ブドウ酒は彼が人々のためにながす血であり、そしてパンは彼の肉である。これが聖餐式の原型ともいえるものである。
13~14世紀のドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャ、ジョットの作品では、使徒たちの風貌(ふうぼう)にも徐々に個性がしるされるようになってくる。通常、キリストのかたわらにもたれる若い男がヨハネで、これは「ヨハネによる福音書」の記述による。それでは問題のユダはどう見分けられるのか。キリストがパンをあたえる相手、聖人に特有のニンブス(光輪)をいただいていない者、黒い髪と黒いひげの男、財布をにぎりしめる男などさまざまな個別化の方法があるが、アンドレア・デル・カスターニョは長大な食卓の手前に独り彼をのこしてユダであることをしめしている(フィレンツェ、カスターニョ美術館)。 レオナルド・ダ・ビンチは、この伝統ある主題を複雑な心理のドラマとして完成させた。そこでは明確な個性をもった12人が心の動きを自然な身振りであらわにしており、しかもその動作は遠近法も導入することで中央のキリストに集約するように構成されている(ミラノ、サンタ・マリア・デレ・グラーツィエ修道院食堂)。このほか北方絵画の典型にバウツの作品があり、また食卓を斜めに配してバロック的動感を表現したティントレットも注目に値する。
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