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核分裂の連鎖反応を持続させ、核エネルギーをとりだすための装置。日本では、1955年(昭和30年)に制定された「原子力基本法」の第3条で、原子炉とは「核燃料物質(ウラン、トリウムなど)を燃料として使用する装置」と定義している。
原子炉の構造は、次のような仕組みとなっている。まず、核分裂反応をおこさせる核燃料(→ 濃縮ウラン)と、減速材とよばれる核分裂により放出された中性子の速度をおとし、核分裂をおこしやすくするための物質によって炉心が形成されている。炉心は、炉心からもれだす中性子を反射させてもどすための反射材でおおわれ、さらに放射能をふせぐための遮蔽材(しゃへいざい)でかこまれている。なお、反射材は減速材と同一の物質がつかわれ、遮蔽材には水や鉄、コンクリートなどが利用される。 炉心には発生した熱をとりだすために水などの冷却材を循環させて、動力に利用するほか、炉心の加熱や暴走をふせぐ機能をもたせている。核分裂により発生する中性子は制御棒で量が制御され、ゆっくりと連続した核分裂をするように調整する。その上で、核分裂が暴走した際には大きな被害を発生させるので、二重三重の安全対策がほどこされている。→ 原子力事故
ウランの放射性同位体である235U(ウラン235)の原子核1個が核分裂をおこすと、約200MeV(メガ電子ボルト:100万eV)のエネルギーが発生する。これを1kg当たりに換算すると約80兆J(ジュール)となり、24時間で消費したとすると、発電所としては100万kW(キロワット:→ ワット)の能力に相当する。これを反応式であらわすと、次のようになる。
原子力発電を安全におこなうことができれば、エネルギー供給の安定化がはかられ、石油や石炭などの化石燃料を燃焼させて発生する大気汚染や地球温暖化をふせぐと期待されていた。しかし、各地で事故をおこして重大な被害をもたらし、完全な安全性が確保できるとはいえないことが判明し、地域住民に大きな不安をいだかせている。さらに、放射性廃棄物の輸送や再処理、最終処理までの全過程をふくめると、現在のところはかならずしも化石燃料より低コストとはいえない、などの問題がある。→ 核燃料サイクル:核燃料再処理工場
原理的な意味での最初の原子炉は1942年にイタリア出身の物理学者フェルミがシカゴ大学につくったシカゴ・パイル1号(CP-1)であるが、大型原子炉としては、アメリカで44年にワシントン州のハンフォードに建設されたものである。目的は核兵器用の原料生産であった。この炉では、238U(ウラン238)が中性子を吸収して核兵器の原料となるプルトニウムを生産した。→核兵器の「マンハッタン計画」 その後1953年、当時のアメリカ大統領アイゼンハワーは、アトムズ・フォア・ピース(平和のための原子力)計画を発表した。それは、将来的にやすくて豊富なエネルギーを約束するものとうけとられ、電力業界は原子力が、埋蔵量が減少していく化石燃料におきかわり、電力が安価に生産できるとみこんだ。また、天然資源保護グループは、大気汚染や露天掘り(→ 採鉱)が減少すると期待した。一般市民も、原子力を戦争目的から平和目的に転換するものとして、この計画を好意的にうけとめた。 しかし、最初の楽観論にもかかわらず、原子力の安全性と核兵器の拡散問題(→ 核拡散防止条約)についてよりくわしい検討がおこなわれるにつれて、核エネルギーについて疑問視する意見が強まっていった。
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