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ガラス

ガラス Glass
百科事典項目
項目構成
I

プロローグ

ケイ酸塩類(ケイ酸塩鉱物)などを高温でとかしてかためた物質で、かたくてもろく、すきとおっている。おもにホウ砂などのホウ酸塩(ホウ酸)またはリン酸塩(リン酸)とともに高温で溶融された二酸化ケイ素(シリカ)からつくられる。ガラスは結晶した固体ではなく、非結晶質(アモルファス)の固体のひとつである。化学的には溶融状態にある液体を冷却するとき、結晶化しないままで凝固する状態のことをガラス状態という。ポリスチレンポリエステルといった有機物質もガラス状態になることから、メタクリル酸メチル樹脂(アクリル樹脂)の注形板などを有機ガラスもいう。これに対し、無機質からなるものを無機ガラスともいう。ガラスは、火山岩の一種である黒曜石などのかたちで自然界でも発見される。

ガラスの分子構造は結晶のように規則ただしくないが、網状の高分子構造となっている。そのため分子間の結合力はじゅうぶんで、機械的な強さがある。冷却するとかたくなり、加熱すると変形できる。通常は透明だが、半透明や不透明にすることもできる。色も、成分によって変化させることができる。高温で溶融されたガラスは、さまざまな加工法で形をつくることができる。ガラスは、冷却してから、ダイヤモンドなど硬度の高い道具で彫刻することもできる。低温ではもろく、われた表面は貝殻状になる。黒曜石や隕石起源のテクタイトのような自然のガラスは、合成のガラスと同じ組成と性質をもっている。

なお、ガラスを素材とする芸術についてはガラス工芸を、機能材料としての特殊なガラスについては、ニューガラスを参照。

II

拡張されたガラスの概念

高温で融解している固体を冷却していくと、温度の低下にともなって連続して体積が減少していく。固体が結晶構造をとるときは、温度が凝固点に達したところで、温度がほとんどさがらずに、体積だけが急激に減少する。しかし、固体がガラスになる場合は、明確な凝固点がなく、ある温度までさげたときに、温度の低下にともなう体積の減少の割合が緩やかな傾斜に変化する。この温度をガラス転移点またはガラス転移温度といい、その温度近くで高粘性液体から固体へと変化する。

せまい範囲のガラスは、ケイ酸ホウ酸、リン酸などを結晶化させずに冷却固化させたものをさしている。しかし、せまい範囲のガラスと分子構造が同じで、ガラス転移点が確認できる物質は、無機、有機の化合物やある種の金属合金の材料を一定の条件で処理したときにもできる。これらの全体を、ガラスあるいはガラス物質というようになっている。

ガラス性結晶とよばれる物質は、明確な凝固点があるにもかかわらず、結晶を形成しないで、分子が乱雑なまま固体になる物質のことで、この場合は、ガラスを広い意味でつかっている。また、結晶化ガラス(セラミックガラスともいう)という材料もある。これは、シリカにアルミナや酸化リチウムをくわえた原料に、白金、酸化金属などの結晶化を促進する成分をドープ(ドーピング)して、ガラス転移温度の近くで条件を制御しながら結晶をつくるものである。ガラスの定義からすると矛盾しているが、せまい意味でのガラスで、本来はガラスになる成分をつかって結晶にしていることを表現している。

年代が特定できる最古のガラスは、アッカド王朝(前2340~前2150:シュメール)の遺跡から発掘された棒だが、正確に人類がいつごろからガラスを利用したかははっきりしない。ガラスは器と装飾品をつくるためにつかわれた。また、建築材料や工業用材料にもつかわれる。

III

材料と技術

ガラスを構成する物質は、砂、フリント(火打ち石)、石英などを原料とするシリカである。

1

組成と特性

シリカを高温でとかすと、溶解したシリカガラス(石英ガラス)をつくることができる。このガラスは高い融点をもち、温度変化によってあまり伸縮しないので、実験室の器具のような、熱の影響をさけたいものには有効である。また、シリカガラスは熱や電気の伝導率が低いので、電気や熱の絶縁体としてつかわれる。

ふつうのガラスの製造では、シリカ以外の原材料をさまざまな比率で混合する。炭酸ナトリウムや炭酸カリウムなどのアルカリ性の混合物は、シリカの融点と粘度をひきさげる。石灰石(石灰岩)や白雲石(炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム)は、安定剤としての役割をはたす。は、レンズなどを製造するためにガラスの光学特性を改善し、ホウ素は耐熱性を高くする。

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