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Acquired Immune Deficiency Syndromeの略称で、正式名称は後天性免疫不全症候群という。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染したために、免疫系の働きがそこなわれる病気である。1981年アメリカ合衆国で、世界ではじめて新しい病気として、エイズと思われる症例が報告された。
1983年、フランスでモンタニエを長とする研究グループが、エイズと思われる患者のリンパ節(→ リンパ系)から新しいヒトレトロウイルス(→ レトロウイルス)を発見した。ほぼ同じころ、アメリカでも、ギャロとレビの2つの研究グループが、エイズ患者や患者と接触した人たちからレトロウイルスを発見した。この3つのグループが発見したウイルスこそが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、いわゆるエイズウイルスだったのである。86年には、これとはタイプがことなるHIV-2型も発見されている。
細菌やウイルスに対する感染防御機構をになう重要な免疫細胞が、CD4というタンパク質を表面にもつTリンパ球(ヘルパーT細胞)である。HIVは、このヘルパーT細胞を直接おかし、そこでどんどんふえていく。さらに、形をかえたり、ヘルパーT細胞の中にかくれたりして、免疫系を破壊していく。→ T細胞 そのため、HIVに感染すると、免疫の働きがだんだんそこなわれる。やがて免疫不全になり、肺炎、真菌感染症など、エイズに特有の日和見感染症や癌などを生じ、ついには死にいたる。
HIVはレトロウイルスの1種で、ふつうのDNAウイルスとちがってRNAが遺伝情報をつたえ、それを逆転写酵素がDNAに転写し増殖していく。 エイズウイルスは、まずヘルパーT細胞の表面にあるCD4というタンパク質にくっついて、細胞の中に入る。細胞内では、逆転写酵素の働きによってRNAをDNAにかえる(DNAがRNAになることを転写という。RNAがDNAになるので逆転写という)。ウイルスのDNAはヘルパーT細胞のDNAの中にもぐりこむ。そして長い潜伏期間の後、なんらかのきっかけによって、ヘルパーT細胞の中で自分と同じウイルスをつくり、ふえはじめる。ふえたエイズウイルスはそのヘルパーT細胞を破壊して外へ出ていき、別のヘルパーT細胞にくっつく。そこでまた同じようにしてふえ、次々にヘルパーT細胞をこわしていく。このようにして、免疫系がどんどん破壊されていく。 エイズはもともと、アフリカでおこった病気だとされている。アフリカにすむミドリザルが同じようなウイルスをもっていることからアフリカミドリザルが起源と考えられていたが、現在はアフリカ中西部に生息するツェゴチンパンジーが起源ではないかと推測されている。チンパンジーのもつエイズウイルスはチンパンジー自身にはエイズを発症させないが、人間がチンパンジーと接触した結果、HIVが人間に広がったとされている。しかし、HIVはけっして強いウイルスではない。加熱すれば死ぬし、感染力も弱い。
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