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項目構成
短期記憶の情報を長期記憶へ転送するうえで、精緻化リハーサルが有効である。精緻化とは、概念的に関連のあるものをまとめたり、相互の間に意味連関をうちたてたり、できあいの知識にくみこんだりする、体制化の操作のことである。たとえば、何種類かのカテゴリーからそれぞれ複数の要素をとりあげて、それをランダムに配列したリストを記憶させ、それを自由再生によって再生させると、被験者の中には提示した順にこたえる者もいるが、なかには、カテゴリーごとにクラスターにわけて、再生する者もでてくる。これは、短期記憶から長期記憶に転送される段階で、カテゴリー群化の精緻化がおこなわれたことの結果である可能性が高い。
タルビングは、被験者は受動的に刺激をうけとるだけの存在なのではなく、情報に積極的にはたらきかけ、自分なりのなんらかの基準をつくりあげてそれを体制化していると考え、これを主体的体制化とよんだ。日本の県庁所在地にあたる都市名を20個とりだしてランダム順に1回提示し、その自由再生をもとめると、被験者の中には、頭の中で日本地図を北から南へと走査しながら、答えを再生する者がでてくる。このような再生方略も、精緻化における主体的体制化のあらわれと考えることができる。
学習の反復もリハーサルの一種と考えられる。反復学習が長期記憶を安定させ、試験などにおいてすばやく解答するうえに有効なことは、日常的にもよく知られていることである。この反復学習を集中的におこなうのが有効か分散的におこなうのが有効かについては古くから検討され、一般に分散学習のほうがより効果的であることが知られている。このような分散効果が生じるのは、集中学習ではまず最初の学習時に1回目の処理がおこなわれ、まだその処理効果が存続しているところに次の学習がくるので、この回は処理の必要がなかったり、あっても浅い処理ですむのに対し、分散学習ではインターバルがあるためにそのつど深い処理がなされなければならず、それによって記憶が確固としたものになるのだという説明がある。これを分散効果を説明するための注意仮説という。 もうひとつの説明は次のようなものである。連続して学習する場合には文脈が同じである可能性が高いのに対し、分散学習の場合には長いインターバルの間に文脈も変化する可能性があり、文脈がことなればコード化も多様になる可能性がある。コード化が多様であれば、それだけ検索の手がかりがまし、結局は検索が容易になって成績が向上する。このような説明はコード化多様性仮説とよばれる。
一般に、長期記憶の取り出し方には、再生、再認、再構成、再学習という手続きがあり、そのどれをえらぶかによって成績はことなってくる。実際、試験を例に考えれば、再生は、穴埋め問題、再認は選択問題、再構成はあたえられたいくつかの用語から意味ある文章を作成する問題である。
ふつうはもちいられないが、もっとも敏感な記憶のテストは、再学習法である。これはエビングハウスの古典的研究にもみられる。彼は、最初の学習(原学習)に要する試行数と再学習の差の割合を「節約率」と名づけた。この節約率は、時間の経過とともに減少する。これをグラフにあらわしたものがいわゆる「忘却曲線」である。 このグラフは一見、時間とともに記憶がうすれることをしめしているようにみえるが、節約率がゼロにならないということは、いったん記憶されたものは、なかなか忘却されないことをしめしてもいる。たしかに再生や再認というとり出し方では、記憶はゼロにひとしいという結果になる場合もでてくるが、再学習をさせてみると、なんらかの「節約」がみられ、むしろ記憶をゼロにすることはむずかしいことがわかる。
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